Jをめぐる冒険BACK NUMBER

Jの劇的な試合日程は、こう作られる。
ドラマを生む「新・日程くん」に迫る! 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

PROFILE

photograph byAFLO SPORT

posted2014/02/06 11:00

Jの劇的な試合日程は、こう作られる。ドラマを生む「新・日程くん」に迫る!<Number Web> photograph by AFLO SPORT

広島の2連覇をさらに劇的なものにした1つの要因に、最終節が上位6チーム同士の対戦となった日程にあったことは間違いない。

ACLの過密日程には、ACL組同士のカードを組んで対応。

 続いて「ACL出場チームの直接対決の設定」について。リーグ戦では今、特定の日にACL出場チーム同士の対戦を組んでいる。

「現状では日本のGWに必ずACLの試合が入ってきます。でもだからと言って、GWにリーグ戦を入れないのは、もったいない。そこで、あえてその節はACL出場チーム同士の対戦にして、該当する4チームによる2カードだけ、別の日に開催しているんです」

 GW以外にも、ACL出場チーム同士の対戦にする節がある。それは、ホーム&アウェーで行なわれるACL決勝と重なる2節だ。昨シーズンで言うと、30節と31節。

「ACLはミドルウイークに組まれているんですけど、決勝は週末に行なわれます。でも、シーズン終盤の週末に、リーグ戦を行なわないわけにはいかない。そこで、その節もACL出場チーム同士の対戦か、ACL出場チームのホームゲームにして、どちらかが決勝に進出した場合、そのチームの試合をミドルウイークの予備日に開催するようにしているんです」

 本来相手チームの事情で試合日程が平日に移るのは、フェアではない。ただ、ACL出場チーム同士の対戦にしておけば、シーズン前はどのチームにも決勝に進む可能性があるわけだから、理解を得やすいというわけだ。

「盛り上げる」ために意図的なマッチングも?

 ここで、ひとつの疑問が生まれる。ACLチーム同士の対戦を組めるということは、「日程くん」では、「この日はこのカードを組む」という設定ができるということだ。だとすれば、近年の開幕戦のカードも、条件として設定しているのではないか。

 例えば、'12年と'13年は2年続けて開幕戦で広島と浦和が顔を合わせたが、これはミハイロ・ペトロヴィッチ監督や柏木陽介、槙野智章、森脇良太など、元広島の監督・選手が現在、浦和に在籍しているため、因縁の対戦だった。

 今季の開幕カードを見てみても、G大阪vs.浦和はかつてACLを制し、一時代を築いたライバル関係。川崎vs.ヴィッセル神戸は昨シーズンの得点王・大久保嘉人と前所属クラブとの対戦。C大阪vs.広島はランコ・ポポヴィッチ新監督が古巣の広島に挑む、というように、因縁が見え隠れしている。

 残念ながら、この点に関して明言を得られることはなかったが、「このカードなら話題になりそうだ」というリーグ側の狙いや「このカードなら中継したい」といったテレビ局側の希望が反映されていたとしても、おかしくないだろう。

【次ページ】 発表された最終節。この中に優勝争いカードが!?

BACK 1 2 3 4 5 NEXT

Jリーグの前後の記事

ページトップ