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“猶予期間”なしでエース級の活躍!?
田中将大が要求される、圧倒的投球。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAP/AFLO

posted2014/01/24 10:40

“猶予期間”なしでエース級の活躍!?田中将大が要求される、圧倒的投球。<Number Web> photograph by AP/AFLO

ヤンキース移籍決定の記者会見で、記者に囲まれる田中将大。日本選手史上最大の注目を集めた移籍劇を、自らの言葉で締めくくった。

田中に“猶予期間”は与えられない。

 これまで野茂英雄投手、伊良部秀輝投手、松坂大輔投手、ダルビッシュ有投手と、数々の日本人投手が注目を集めながら、メジャー挑戦を果たしてきた。

 だがその1年目は、それぞれのチームに絶対的なエースが存在していたことで、3番手から5番手の扱いだった。

 その分プレッシャーも軽減され、メジャーに順応するための“猶予期間”として機能していたのも事実だ。

 しかし、今シーズンのヤンキースにそんな余裕はない。

 大黒柱として期待されるサバシア投手の昨シーズンは、防御率で自身最低を記録するなど精彩を欠く投球内容だった。

 これまで7年連続で200投球回数を達成するなど大車輪のごとく投げ続けてきた。今年7月で34歳になることからも、すでにピークを過ぎたのではとの憶測も出ているほどだ(ただヤンキース関係者はこのオフの調整が順調に進んでおり、かつての投球が復活するのではと予想しているが……)。

 もう1人のエース格である黒田博樹投手も年齢的な不安がある。黒田自身も今年、例年通りに32試合前後、200投球回数を大前提とした投球をしていくかどうかについて、シーズンを通して首脳陣と方向性を決めていく、という考えを示している。

 つまりヤンキースには、現時点で絶対的なエースが存在していないのだ。

打者有利の球場ばかりが揃うア・リーグ東地区。

 仮にキャンプやシーズン中にサバシアや黒田に不測の事態が起こった場合は、必然的に田中がエースの一角を担わなければならない状況となる。とてもではないがメジャー1年目の選手には荷が重すぎるだろう。

 さらにヤンキースが所属するア・リーグ東地区も、投手にとっては困難この上ない場所となる。というのも、地区内の全5チームがプレーオフ進出を争えるような強豪揃い。しかも球場が比較的狭く、打者有利の球場ばかりなのだ。

オリオールズ   (オリオールパーク)     2.84本
レッドソックス   (フェンウェイパーク)    1.89本
ヤンキース      (ヤンキースタジアム) 2.06本
レイズ             (トロピカーナ・フィールド)             1.93本
ブルージェイズ (ロジャーセンター)     2.64本

 これは各5チームの2013年シーズンを球場別にみた1試合当たりの本塁打数だ(カッコ内は球場)。

【次ページ】 上原が「神経を使う」と語るア・リーグの球場。

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