MLB東奔西走BACK NUMBER
“猶予期間”なしでエース級の活躍!?
田中将大が要求される、圧倒的投球。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byAP/AFLO
posted2014/01/24 10:40
ヤンキース移籍決定の記者会見で、記者に囲まれる田中将大。日本選手史上最大の注目を集めた移籍劇を、自らの言葉で締めくくった。
上原が「神経を使う」と語るア・リーグの球場。
これを見る限り、ヤンキース、レッドソックス、レイズがメジャー平均を下回っているが、昨シーズンの3チームは打線が低調で本塁打数そのものが少なかったことが影響している。
ヤンキースタジアムの右翼側、フェンウェイパークの左翼側(いわゆるグリーンモンスター)は狭いことで有名だし、レイズのトロピカーナ・フィールドもドーム球場らしくボールが飛ぶことで知られている。そしてオリオールパークとロジャーセンターの平均本塁打数はア・リーグ1位、2位にランクしているのだ。
昨シーズン、上原浩治投手に話を聞かせてもらった際、彼はア・リーグ東地区の球場で投げる時は神経を使う、と話していた。
そんな状況下でファンやチームから日本で投げていたような圧倒的な投球を求められるのも、やはり田中にとっては酷ではないだろうか。
最低でもプレーオフ、そして地区優勝が至上命題。
だが田中はヤンキースを選んだ。そして、強豪としての復活を目指したヤンキースは数々の大型補強を断行し、その補強策の最後のピースとして田中を迎え入れた。
改めて言うが今シーズンのヤンキースは地区優勝、最低でもプレーオフ進出が至上命題といえる。そして田中の契約内容は、そのままチームの期待度でもある。
仮に田中が期待通りの投球ができずにチームがプレーオフ進出を逃してしまったとしたら、メジャー1年目という事情など考慮されることなく、他の補強選手たちと同様にメディアとファンから戦犯扱いの非難を浴びることになるだろう。
いずれにせよ今回の田中のヤンキースとの契約合意に驚きを感じていると同時に、かなりの不安を感じている。
今回の契約には4年目終了時点で契約解除できる条項が含まれているようだ(全チームとのトレード拒否条項もある)。
果たして2017年のシーズンを終えた田中は、ヤンキースのエースとして更なる大型契約を結ぶような存在になっているのか、それとも伊良部や井川慶投手のように激しいバッシングを受けながらチームを去っていくのか。
ただ、これまで日本人メジャー投手たちが経験したことがない厳しい挑戦が待ち受けていることだけは確かだ。