MLB東奔西走BACK NUMBER
“猶予期間”なしでエース級の活躍!?
田中将大が要求される、圧倒的投球。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byAP/AFLO
posted2014/01/24 10:40
ヤンキース移籍決定の記者会見で、記者に囲まれる田中将大。日本選手史上最大の注目を集めた移籍劇を、自らの言葉で締めくくった。
第一報がもたらされたのは1月22日、米国東部時間の午前9時40分のことだった。
これまでも何度となくスクープ記事をものにしてきたことで定評のある、FOXスポーツ(MLBネットワークでも解説者を務める)のケン・ローゼンサル記者がツイッターで以下のようにツイートした。
「速報:タナカがヤンキースへ。7年、1億5500万ドル、4年目終了後に契約解除可能」
ここまで、田中の代理人を務めるケイシー・クロース氏の交渉戦術の影響か、獲得競争に参戦しているチームは一斉に箝口令を敷き、憶測報道ばかりが続いていた。メディアの間でもやや閉塞感が漂い始めていただけに、このツイートは瞬く間に全米各地に広がっていった。
その後、他の記者達も徐々に情報を入手し、さらに詳細な情報が広がっていく。
結局、ヤンキースが午後1時過ぎに正式発表するまでには、ほとんどの情報が各メディアから提供されていたほどだった。メディアを含めMLB関係者の間で田中の去就がどれほど注目を集めていたのかが、改めて浮き彫りとなった。
現地メディアも驚愕した、メジャー史上5位となる年俸総額。
“Remarkable(注目に値する、異常な)”
米国最大のスポーツ専門局ESPNでは、朝のニュース番組でも繰り返し田中の速報を報じ続けたのだが、その中である解説者は、田中の契約内容について驚嘆の声を上げていた。
それもそうだろう。これまで何度も各チーム共に、年俸総額1億ドルを超える契約提示をしているとの報道がなされているとはいえ、ヤンキースの提示額は年俸総額で投手としてメジャー史上5位にランクするもの。やはり“破格”と言わざるを得ない。
「契約が決まってから聞いたところでは、自分たちの提示額が最高金額だったようだ。だが、かなり際どい争いだったようで、他のチームとも僅差だったようだ。
日本だけではなくドミニカやベネズエラ、もちろん米国内でも世界各地にいる有望選手を獲得する際にはどうしても大量の資金が必要になってくる。上手くいかない時も多々あるが、毎年のようにチームを改善していく取り組みは変わることはない」
ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは田中獲得に関し以上のように説明したが、まだメジャーでの実績がない投手に対して、この提示額は多くの人の予想をはるかに超えていたといっていいだろう。