MLB東奔西走BACK NUMBER
“猶予期間”なしでエース級の活躍!?
田中将大が要求される、圧倒的投球。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byAP/AFLO
posted2014/01/24 10:40
ヤンキース移籍決定の記者会見で、記者に囲まれる田中将大。日本選手史上最大の注目を集めた移籍劇を、自らの言葉で締めくくった。
「今オフで最高のFA投手」という特別扱い。
ヤンキースが田中について、「今オフで最高のFA投手」(ハル・スタインブレナー共同オーナー談)という認識を示していた通り、今年のFA市場で田中を超える先発投手は存在しなかった。
それもあり、今オフ、田中の去就が決まらない影響で、通常なら昨年内に決まってもおかしくないようなFA先発投手たちの契約が先送りされる、という異常事態に陥っていた。
そういったMLBを取り巻く環境が、結果的に田中の年俸を押し上げる形となった(その上新ポスティングシステムの導入により入札金額が上限2000万ドルに抑えられたことで、入札金の余剰分がそのまま選手の年俸に反映されるようになったのも事実だろう)。
田中の年俸を超えているのは、サイ・ヤング賞投手のみ。
田中の年俸総額を超える4投手を見てみると以下の通り。
1位 クレイトン・カーショー(7年/2億1500万ドル)
2位 ジャスティン・バーランダー(7年/1億8000万ドル)
3位 フェリックス・ヘルナンデス(7年/1億7500万ドル)
4位 CC・サバシア(7年/1億6000万ドル)
4投手はいずれもサイ・ヤング賞受賞を経験している、メジャーの中でも屈指のエースとして君臨する投手ばかりだ。
さらに1年当たりの年俸でも2200万ドル(1年目から6年目までの年俸額)は、イチロー選手をも上回る日本人メジャー選手の最高額であり、2013年シーズンの各選手の年俸と比較しても、メジャー全体で8位、投手では5位にランクするものだ。
とはいえメジャー1年目から、トップクラスの待遇を受けるのは、逆に田中に必要以上のプレッシャーをかけることになりかねないだろう。
年俸ばかりではない。ヤンキースで待ち受ける立場も、田中にとってはかなりの重圧としてのしかかってくる。
すでに繰り返し報じられているように、今シーズンのヤンキースは先発投手の駒不足が指摘されており、田中獲得は至上命題だった。今後は、キャッシュマンGMが説明するように、先発ローテーションの“2、3番手”として扱われることになる。