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最下位の日ハム、来季は優勝争い?
肝はドラフト下位選手の「伸び率」。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/12/18 10:30
選手との対話を欠かさない栗山英樹監督。スカウト、首脳陣と選手との距離の近さが、日本ハムの強さを支えている。
来季のパ・リーグの優勝争いには、日本ハムが絡んでくると予想している。
なぜなら今季の戦いから、日本ハムは、優勝に不可欠なキーファクターを備えていることが見てとれるからだ。
優勝のための成功要因――。
それは、ドラフト中・下位指名で入団した選手たちの底上げである。
グラウンドに立ってしまえば入団時のドラフト指名順位は関係ない。ドラフト中・下位指名選手たちの貢献度を軽く見てはいけない。
初の日本一に輝いた今季の楽天が、まさにそうだった。
田中将大、則本昂大などの上位指名選手がチームを引っ張る陰で、足元を支えたのは下積みを長く経験した選手たちだった。
3番打者として打率3割をキープし、ポイントゲッターとなった銀次、決定的な仕事ができる存在として外国人の後を打った枡田慎太郎は、'05年高校生ドラフト3、4位の選手である。
昨季から“どろんこ3兄弟”のうちの2人として首脳陣から期待を受け、少々のミスにも我慢強く起用され、チームの主力に成長した。
このほかにも、核弾頭の岡島豪郎、下位打線を担った島内宏明は'11年の4、6位だし、中堅手の聖澤諒も'07年、大学生・社会人ドラフト4位である。
いかに組織として、下位指名選手の育成に力を入れるか。
突出した力を持つドラフト1、2位選手の活躍によってある程度の成績を出せたとしても、優勝するとなるとチーム全体の底上げが重要なのだ。いかに組織として、下位指名選手にも価値をおき、なおかつ、育成に力を入れているかが大事になってくる。
もともと、日本ハムは2000年代に入って「スカウティング」と「育成」に力を入れ、強化を進めてきたチームだ。
日本ハムが'06年からの4年間で3度の優勝を遂げることができたのも、そうしたキーファクターを見落とさなかったからだ。