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巨人の大型補強は、川上哲治流?
“超競争原理”で日本一奪回を期す。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/12/08 08:02

巨人の大型補強は、川上哲治流?“超競争原理”で日本一奪回を期す。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

高卒3年目にして開幕投手を務めた宮國椋丞だったが、6勝7敗、防御率4.93と、首脳陣の期待には応えられなかった。

「今年の宮國は結局、守りに入って失敗した」

 しかし結果から言えば、その育てるためにポジションを与えるという考えが間違いだったと原は反省しているわけだ。

 3月29日の広島との開幕戦は7回途中まで3失点と好投。勝ち星こそつかなかったが、1988年の桑田真澄以来となった20歳での開幕投手という重責は果たした。しかし、2度目の先発となった4月9日の阪神戦で7回2失点と好投しながら、味方の援護に恵まれずに負け投手となったのがケチのつきはじめだったのかもしれない。

 4月16日の阪神戦では今季初白星を挙げ、同23日のDeNA戦では連勝を果たしたが11安打を浴びての5失点と内容的には厳しいものだった。そして5月6日の阪神戦で4回途中で8安打を浴びて2失点でKOされるとファーム落ち。

 6月に1軍復帰したものの、7月25日の広島戦で2回途中8失点で2度目の2軍落ちとなると結局、今季は昨年の輝きを取り戻すことなく、10月3日には右下腿内側痛が発覚して、ポストシーズンの登録からも外れることになった。

「今年の宮國は結局、守りに入って失敗した。開幕を任せたことも影響したかもしれないけど、それ以前に、ポジションを与えたことによって、過去の(調子が良かった)自分をずっと追い求めていた。それじゃあ成長はないんですよ」

最も大切なモチベーションは、競争原理である。

 指揮官の口調は厳しい。

 そしてその宮國の失敗を教訓に、原自身が改めてチームを動かす最も大切なモチベーションとして挙げたのが、競争の原理だったというわけである。

「若い選手を育てようと思ったとき、どうしても我慢して使い続けることが育てることだと思いがちになる」

 原は言う。

「でも、実はそうすると選手は与えられたポジションを守ろうとしてしまう。いま与えられているポジションを守るために、ともするとチャレンジもできなくなるし、前に踏み出せなくなってしまう。そこには成長はないということなんです」

 人と競うことによって、今までの自分の限界を越え、殻を破ってさらに成長しなければ勝てないという意識を強く持つことになる。それが選手を育て、チームを活性化するもっとも大切なモチベーションになる。

 それこそ原が'13年のシーズンを踏まえて、改めて得た一つの結論だった。

【次ページ】 競争を最大に利用するため、移籍も使う“川上流”。

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