サッカーの尻尾BACK NUMBER
バルセロナがポゼッションを捨てた!?
保持率49%の衝撃と、新たな攻撃法。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/09/24 11:25
グアルディオラがバイエルンの監督に就任すると同時に、バルセロナで脱グアルディオラが始まった。この数奇な巡りあわせの結末はいかに。
「ボールさえ持っていれば守る必要すらない」
しかしボールを持っている時間にある程度の差があれば、相手ゴールに近づく可能性は高まるわけで、結果的に得点の確率も上がる。
ポゼッションは、時代を謳歌したバルサのサッカーの鍵を握っていた。
「ボールさえ持っていれば守る必要すらない」とはグアルディオラがよく語っていたことだ。
バルサはそれを信念に、雨の日も風の日も、ポゼッションをベースにした、縦よりも横を意識して攻めるサッカーを続けてきた。
レアル・マドリーやバイエルンがバルサを破り始めた頃……。
しかし、当然ながらポゼッションが勝利を約束するわけではない。
時が進むにつれ、バルサのサッカーに相手が慣れてきた。結果でも内容でも、そしてポゼッションでも頂点に立っていたバルサは、世界中で崇拝され、研究され、やがて対策がたてられるようになる。
リーガの強豪やチャンピオンズリーグで上位を狙うレベルのチームはバルサをどう破るかを徹底的に検証し、しかも結果が出るようになってきていた。ここ数年のレアルや昨季のバイエルンなどはその典型例だ。
バルサ対策に対する対抗策をとろうと、マルティーノ新監督は、ボールを保持してゆっくりと攻めるだけでなく、攻撃のバリエーションを増やそうとしている。選手もそれに続いた。
ピケは「これまではシャビとイニエスタの間をボールが横に動く展開が延々と続くこともあった。たまには後方からロングボールを蹴るべきだ」とし、メッシも「バルサにはいいパサーが多いから、カウンターは有効」と変化を歓迎している。
ラージョ戦はまさにふたりの言葉通りの展開だった。4得点のうち3点は、ボール奪取からの縦に速い攻めによるものだ。