欧州サムライ戦記BACK NUMBER
香川、今季2度目の先発出場も……。
「大人しい」ことは美徳ではない!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/09/26 12:00
独力での突破よりもコンビネーションの中で輝く香川にとって、出場機会が限られる事態は危機的。多士済々のマンU攻撃陣との厳しいポジション争いが続きそうだ。
結果こそが全て。
デイビッド・モイーズの表情は、そう言っているかのようだった。9月25日のリーグカップ第3ラウンド、ホームでリバプールに辛勝(1-0)したマンチェスター・ユナイテッドの指揮官は、ギョロリとした目を輝かせながら微笑んだ。求めていた物を手に入れた、納得の表情だった。
カップ戦は、リーグ戦とは違う一発勝負の世界だ。しかも、マンUは、3日前のプレミアリーグ第5節で、地元の宿敵マンチェスター・シティに惨敗(1-4)したばかり。リバプールには、第3節で敗れてもいた(0-1)。マンUとその新監督にとっては、絶対に勝たなければならない一戦だった。
決定機の数を含む内容では、リバプールが上回っていた。ペナルティエリア付近で目立っていたのは、昨季終盤からの出場停止から復帰したルイス・スアレスと、前線でコンビを組んだダニエル・スタリッジとの呼吸の良さ。
だがマンUは、相手の隙を逃さずに決勝点を奪った。
ダービーから8名の先発選手を入れ替えたリバプール戦。
後半1分のCK、ハビエル・エルナンデスが、ホセ・エンリケの甘いマークにつけ込んでフリーとなると、ウェイン・ルーニーからのCKにジャンプしながら体をゴールの方向に開き、器用に畳んだ右足でミートしてネットを揺らしたのだった。
しかし、ピッチ上のマンU選手には、結果以上に内容を必要としている顔ぶれが多かった。
モイーズは、マンC戦から先発メンバーを8名入れ替え、今季ここまでの控え組にチャンスを与えた。その中の1人が、マンUファンの間で「何故使わないのか?」と声が上がっていた香川真司だった。
だが、香川の今季2度目の先発は、チームのパフォーマンスと同様に、辛うじて及第点以上という出来に終わった。
香川にとってこの試合は、単なる出場機会を越えた、スタメン復帰アピールのチャンスになると思われていた。というのも、既に、マンチェスター・ダービーでの惨敗が、間接的に香川の存在にスポットライトを当てていたからだ。