自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
東京湾岸をひたすら東へ、幕張へ。
「未来都市」のあるべき姿とは?
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2010/11/20 08:00
「世界一の屋内スキー場」ザウスの跡地に。
おーや、道々にクルマが突然増えたなあ。それもトラックじゃなくて自家用車。みんな右側に向かっているなあと思って、その先に何があるかと、寄り道してみたら、やはりあった。IKEAだ。
シンボルカラーの青と黄色で塗られたシンプルなビルディング。スウェーデン生まれの、"激安! でも、センスは悪くない!"の家具店である。デカい。で、中に入ってみると、もっとデカい。あたかも巨大倉庫のもっとドデカいバージョンというテイストだ。これ、デカいのも当然で、IKEAはあの「世界一の屋内スキー場」ザウス跡地に建設された。
ザウス! ああ、スキーブームの象徴。バブルの恐竜。2時間5000円。'93年から'02年までの約10年間、ここに巨体を見せていた。思えばあんなに大きなものが解体されてしまったんだなぁ。
それにしても、千葉という県の湾岸沿いには、なにか「ちょっとヘン」な名物が建ち並んでいる。そういう事実に奇妙な感銘を受けつつ、私は走っていく。
しかしね、千葉県。あまり自転車のことを考えているとは言い難いのも一方の事実だ。道の造りそのものに「自転車=歩行者」というのが見え見えなんだもの。
必然と言うべきか、車道を走っていると、あからさまにクルマに邪険に扱われる。特に今回の私のBD-1のような小径車だと、かなり顕著だ。
そこはやはりロードバイクの方が「あいつらは速いから」という目で見てもらえる。特に派手なチームジャージを着てヘルメットをかぶっていると「目立つ」ということもあって自転車アリと認識してもらえる。
ジャージ、レーパン&ヘルメットは、単に物理的な安全や動きやすさだけじゃなく、対クルマのアピールすなわち、交通事故防止にも繋がっているといえる。
千葉では「車道はクルマのもの」?
突然ながら、私の通常の通勤経路の途中、慶応大学の三田キャンパスが現在工事中でして、そこに早朝(すっごい早朝であります)ひっきりなしにダンプが入っていく。
このダンプたちが、本気で危険でね。
自転車が走っているのを承知で、左に寄せてきたり、いきなり左折してみたり、と、あたかも「チャリンコなんて、歩道通れよ、歩道っ」と言いながら通ってるかのようなのだ。いや、かのようだ、ではなく、実際にそう怒鳴られたこともある。もちろん、その認識こそが完全に違う。考え方そのものが道交法違反だろう。
で、残念なことに、そういった無法ダンプの100%が、習志野ナンバーなのだ。もちろん慶大工事の契約業者が習志野ナンバー地域の業者だから、ということだが、でも、なんだか分かるんだよ。
千葉の道を走っていると、千葉のクルマは日々の交通社会の中「車道はクルマのもの」「チャリンコは歩道」という誤謬で、常にアタマを洗われているに近い。
その逆に自転車にとっては、路肩は狭い、渡れない交差点多数、自転車用のスロープ(歩道橋)も多数、そのくせスロープが終わると歩行者と混濁。歩行者は常に危険にさらされ、自転車はスムーズに走れず、土建屋さん(つまりトラック)だけが、ウハウハとデカい顔、ということになっている。