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東京湾岸をひたすら東へ、幕張へ。
「未来都市」のあるべき姿とは? 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2010/11/20 08:00

東京湾岸をひたすら東へ、幕張へ。「未来都市」のあるべき姿とは?<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

ワイルドな風景「行徳富士」の謎。

 やがて、市川市に入る。

 市川市ってのは結構大きな町でね。人口が48万人くらい。中程度の県庁所在地、たとえば長野市(38万人)や長崎市(44万人)などより大きい。元祖・東京のベッドタウンとして発展した。実際に駅前なんかに出てみると、結構賑わっているものね。

 で、その市川に入るなり、ふと見ると、おや、国道沿い左手にワイルドな山。というのか丘がある。ふもとには自動車の修理工場があったりして、丘は低木と雑草に覆われ、何か昭和な感じ。テイストが懐かしいぞ。この道沿い初の「剥き出しの自然」かもしれん。しかしなぁ、周囲の風景とあまりの違和感。何でこんな丘がここにあるんじゃろか。

 で、後で調べてみた。

 すると、わお、「懐かしい」「剥き出しの自然」どころの騒ぎじゃない。この丘、実は、産廃残土の違法投棄跡なのだそうだ。

 昭和56年から東京某区の業者がここに残土を捨て続け、積み上げた土砂(金属片やゴミなども含まれてるそうな)が、地上37メートルにも達した。誰が呼んだか「行徳富士」。地元住宅地では砂塵被害が相次ぎ、市は業者に指導、次いで裁判、勝訴、それでもまだ解決に至っていないのだという。

 遠目には、なんだか残された自然という風に見えるが、近くによって見ると、さに非ず。他者には「わはは、何だこれ」な風景が、実はこうして「負の歴史」を背負っていることもあるのだ。

市川、船橋。実は大都市なのだ。

 しばらく走ると今度は船橋市に入っていく。船橋市はもっとデカくて人口61万人。これはもう普通に「大きな県庁所在地」レベルで、同クラスの都市は鹿児島市(60万人)や松山市(51万人)など。いずれも地元の一大中心地だ。湾岸千葉、実は地味ながら大都市の集まりなんだね。

 こりゃ下手すると政令指定都市になりかねないぞ……? と思っていたら、本当にそういう構想もあるのだそうだ。千葉県の西側、松戸、船橋、市川、鎌ヶ谷が合併して、巨大都市をつくるという計画で、合わせた人口が170万人弱。これは千葉市よりもデカい。

 ふーむ、危うし、なのか? 千葉シティ。

 その船橋に入ると、今度は「海老川大橋」ってヤツを越えて、目の前には特徴的な円柱状の建物が見えてくる。そう、そうだ。あれこそ有名な「ららぽーと船橋」(現在は「ららぽーと TOKYO-BAY」と改称)であります。

 考えてみれば、こここそ郊外ショッピングセンターの先駆け。「ここに来れば、何でも揃う!」的テナント施設の嚆矢だ。東京湾岸でいうと少し前「ららぽーと豊洲」ができたんだけど、もちろんその元祖。

 そうか、自転車で来てみて初めて気づいたけど、「ららぽーと」って、本当に港(ポート)の近くにあるのね。かなり内陸部に切り込まれた入り江。マリーナがあって、クルーザーがたくさん停泊してる。考えてみれば豊洲もそうだ。

 そういうのを横目で見ながら行くと、お、次に現れる大規模店舗がある。

 日本上陸してからというもの、ずうっと絶好調。私もかなり行く。行って楽しい。最寄りを駅で言うと「南船橋」。はい、知ってる人は知ってる、例の店だ。

【次ページ】 「世界一の屋内スキー場」ザウスの跡地に。

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