自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
東京湾岸をひたすら東へ、幕張へ。
「未来都市」のあるべき姿とは?
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2010/11/20 08:00
江東区、江戸川区を通過。観覧車が見えてきた。
いつぞやの回に書いた夢の島公園(昭和の廃棄物の上に公園ができる)を通って、新木場の駅に出たところで、左折。
さあ、ここからいよいよ一路、湾岸千葉へまっすぐだ。首都高速・湾岸線沿いの通称「湾岸道路」国道357号線である。
いやー、しかし休日(土曜日)なのにトラック通るなぁ。「眠らない街・東京」もそうだが、もうひとつ「休まない街・東京」なのである。
荒川を渡る手前から葛西臨海公園の観覧車が見えてくる。観覧車というのは、乗ってそこまで楽しいものじゃないが、観てる分には楽しいものだよね。特に夜景のライトアップはそうだ。風景に華やかさを添えてくれる。入場料を払わない者にこそベネフィット。いわば景観の慈善事業だ。
その観覧車から、さて道路に目を移すと、この道、ほんとに自転車に向いてない。通り過ぎる多数の大型トラックもさることながら、路肩は狭いし、路面は荒れてるし、そもそも自転車で車道を走ることが想定されてない。私でも自転車で車道を通るのが少々怖い。
だからというべきか、荒川を渡る際には、自転車は完全に歩道にあげられてしまう構造になっていた。
歩道上のスロープを伝って上り、じゃりじゃりの歩道を走る。走りにくいが走らざるを得ない。しかもそこは相互通行。なんだか自転車の利便性など二の次の、とにかく自転車および歩行者を一緒くたに隔離してしまおう、という路線だ。
思うに、そういう道路があってもいい。そういうのを「自動車専用道」「産業道路」などに指定すればいい。で、自転車は別ルートを選べばいいのだ。だが湾岸はこのルートが唯一無二。だからこそ、私と同じ歩道に、大勢のローディ(ロードバイクに乗る人のこと)、ローディ、ローディ。車道は爆走する大型トラックの群。
ご同輩。かなり不幸な光景だよね、というか、まるで途上国だな、日本。
千葉の入り口はディズニーランド。
荒川を渡り、環状7号線を横切ると、次に現れるのが、旧江戸川だ。架かっている橋は「舞浜大橋」。川のちょうど真ん中に「ここまで東京都、ここから千葉県浦安市だよん」という表示が出る。
ここから「ウェルカム・トゥ・千葉」となるわけだが、最初の浦安市、もはや千葉県で最も有名な都市名と呼んでもいいくらいで、もちろんそこにあるのは、あの東京ディズニーランドだ。
舞浜大橋を渡るとすぐに、右手に巨大な西洋のお城が見えてくる。これが別の町にあれば「おお、あれは……、何かの宗教、かな?」なんて思うだろう。しかし、ここは浦安だからディズニー。国道沿いにも「こなたディズニーランド」というアルファベットの看板がたくさん出てきて何か心が浮き立つ、というか、ここまで通ってきた東京側の江東区や江戸川区より、浦安の方がちょっとアメリカンで垢抜けてるようにすら感じられる。新浦安に「お洒落なマリナーゼ」とか称して、新興高級マンション群ができたのは、決して偶然じゃないね。みんなディズニーのおかげだ。
ところで、知る人ぞ知る事実だが、そのディズニーランドの親、すなわちオリエンタルランドの親会社は京成電鉄なんだそうだ。あの葛飾柴又で、スカイライナーで、上野、日暮里の京成電鉄。
うーん、このイメージの齟齬が、実に味わい深い。
最初この事実を聞いたとき「ウソでしょ」と、にわかに信じがたかったくらいだ。