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大物レブロンのヒート移籍の成否は?
試されるNBAヘッドコーチの管理能力。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNBAE/Getty Images
posted2010/11/01 10:30
左からボッシュ、ウェイド、レブロン。セルティックスとの開幕戦を落とし、力無くうなだれる3人の王様たち
経営陣と選手の狭間に立たされるヘッドコーチの悲哀。
日本ではヘッドコーチが「監督」と訳されることが多く、とてもとても偉いイメージがあるが、実際は経営陣から選ばれ、選手を管理する「中間管理職」の色彩が強い。
しかもNBAの選手たちは競技の性質上、我の強い選手が他の競技に比べて多いから、選手たちの不満も受け止めなければならない。
たとえば1点差で負けていて、最後のシュートを誰に打たせるのか、これは人事問題の火種になりやすい。逆転の可能性を高めるプレー選択が、必ずしも選手たちが満足する「最大公約数」とは言い切れないのである。
特にヒートは「最後のシュートを誰に打たせるか?」という問題に直面するだろうし、ロケッツはヘッドコーチが姚明を使いたくとも使えないシーンが出てくるかもしれない。
NBAは華やかな世界である。しかしその一方で、中間管理職の悲哀がにじみ出るシーズンになるかもしれない。