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三分坂、鳥居坂、芋洗坂、狸穴坂……
坂だらけの港区に東京の歴史を見た。 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2010/09/18 08:00

三分坂、鳥居坂、芋洗坂、狸穴坂……坂だらけの港区に東京の歴史を見た。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

意外や、実は手頃なビンテージマンション。

 それにしても、港区、坂の多い街ではある。そして、その坂のあちこちに「ザ・高級マンション」と「ザ・ビンテージマンション」が共存している。

 実は今回、ちょっと興味が出てきて調べてみたのだ。

 こういうマンションっていくらぐらいするんだろうってね。で、少々驚いた。昭和40、50年代に建ったマンション、家賃は高い。しかし、買うならリーズナブルなのだ。少々古いことに目をつぶれば、おや、2000万円台で2LDKが普通に買える。麻布で、白金で、六本木でさえ。

 ふーむ、何だかちょっと魅力的。よくワカランが、これ以上、値段は落ちそうにもないし、郊外に新築を買うよりも、有利なんではなかろうか、と、一瞬、考えてしまうのだ。

 しかも、現代のリフォーム技術、そして、リノベーション技術はヒジョーに進んでいるから、外観が多少古くても、あれま、内装はぴっかぴかという具合にはできるのだ。

 落とし穴はないのかどうか。やがてくる建て替え? 大規模修繕? それとも?

港区の繁栄は続くか? ビンテージマンションが左右する命運。

 ただし、言えるのは、こういう街(つまり港区そして都心全般)が、今後どのように発展していくのか、はたまた、場合によっては朽ちていくのかは、こうしたビンテージマンションの行方にかかっているということだろう。

 こうしたビンテージマンションが、よしんばスラム化するようなことがあると、土地のプレステージはあっという間に下がり、住民は別のところに逃げていき「港区がオシャレだった時代」は終わりを告げる。

 サドルの上から、次々に通り過ぎていく建物をつらつら眺める。港区内の鉄筋コンクリート物件は、本当に新旧様々だ。

「鉄筋コンクリートは50年しかもたない」説は有力だ。だが一方で「それ以上だって大丈夫、技術がまだ拙い時代に造った同潤会アパートだって、あんなに持ったんだぜ」という説もある。さらには「ロンドンやパリのマンションなんて、築200年、300年が当たり前」なんて話まである。

 どれが正しいのかは分からない。なぜなら本格的な分譲マンションが売られたのが昭和30年代末期、つまり、日本にとって初めてのマンション耐久実験の結果が初めて出ようとしているのが、まさに今だからだ。

 リキマンションも、霞ヶ丘アパートも、原宿団地も、みんなそう。

 現在のところは「高地価」「都心」「高級」「オシャレ」なんかの称号を恣(ほしいまま)にする東京都港区だが、はたして、その栄華はいつまで続くのか。なにしろ上野にしても、浅草にしても、かつて「帝都随一の繁華街」だった時代があるのだ。

 そう思うと、この港区という地域は、まさに今がピークであり、まさしく将来への正念場なのだろう。

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