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三分坂、鳥居坂、芋洗坂、狸穴坂……
坂だらけの港区に東京の歴史を見た。 

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疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2010/09/18 08:00

三分坂、鳥居坂、芋洗坂、狸穴坂……坂だらけの港区に東京の歴史を見た。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

 東京都心三区(千代田区、中央区、港区)の中で、最も華やかなイメージがある区といったら、やはり港区だろう。青山、赤坂、六本木、麻布、白金、高輪、などと地名をあげていくだけでも、それっぽい名前が目白押し。おおセレブな街だな(?)と思うか、夜の街ばかり(?)と思うかは、それぞれの人のイメージによる。若干バブリーな香りが漂うのも、港区ならではなのだろう。

 で、まあ、その港区、実は自転車乗りの初心者にとっては、けっこうキビシイ区でもあって、何かというと、非常に坂が多いのだ。それも細かい坂が「これでもか」とばかりある。

 坂の長さ自体はまったく大したことはない。でも、勾配はけっこうキツい。それが港坂(みなとざか)の特徴で、たとえば赤坂TBS放送センター裏の「三分坂」なども典型的な例のひとつ。

 この坂、ママチャリではちょっと登れない。ロードだってダンシング(立ち漕ぎ)だろう。だいたい名前の謂われからして「急坂」を物語っていて、あまりに急なため、車代「銀三分(さんぷん)増し」だったからなのだそうな。うーむ、チョンマゲの時代から、この坂はここにあり、今と同様に急坂だったのだ。いいね、東京の足元から江戸が透けて見える。

 ちなみにこの坂に面する報土寺には、史上最強の力士、雷電為右衛門の墓があったりもする。

 というわけで、その赤坂から、今回のTOKYOルート24を始めよう。テーマは港区の「坂」、「高級自転車ショップ」、そして、なぜか「鉄筋コンクリート」だ。

赤坂リキマンションを見たか?

 三分坂を下るとすぐ別の急坂「稲荷坂」が現れる。ここを登ってみよう。この先にちょいと奇妙なビルがあるのだ。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントの裏あたり。大きな「R」の文字が、ぺたぺたペイントされたマンションが建っている。私は前々から「なんだこれ」と気にはなっていたんだけど、最近、その謎が解けた。

 これ「赤坂リキマンション」という名前の分譲マンションなんだそうな。あの戦後復興のシンボル、プロレスラー・力道山が建てたという、実にマッチョなマンションなのである。

 1963年(昭和38年)築。東京オリンピックの前年に建った。この赤坂という街は、力道山が喧嘩の末に刺されて死亡したという、いわば因縁の地なんだけど、オリンピック前夜という年も、これまた昭和のメルクマールとして因縁の年ではあるなぁ。

【次ページ】 家賃は1LDK30万円。

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