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本田“いる・いない”論を越えて――。
福西崇史が語る「最も大事な1カ月」。 

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細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/05/30 13:10

本田“いる・いない”論を越えて――。福西崇史が語る「最も大事な1カ月」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

所属チームのカップ戦出場のため、本田圭佑、岡崎慎司、酒井高徳を欠いて日本代表はブルガリア戦を迎える。

 アルベルト・ザッケローニ率いる日本代表には、2つの顔がある。

 本田圭佑がいる日本代表と、本田圭佑がいない日本代表――。

 周知のとおり、前者は後者よりも明らかに勝率が高い。ザッケローニ就任後の日本代表はW杯3次予選の北朝鮮戦、同ウズベキスタン戦、親善試合のブラジル戦、W杯最終予選のヨルダン戦と4つの黒星を喫しているが、ブラジル戦を除く3試合に本田は出場していない。今回も、代表チームへの合流は6月4日のオーストラリア戦直前と言われており、当然ながら、今夜のブルガリア戦にも欠場する。

「この合宿は、私が就任してからの3年間で最も大事な1カ月になる」

 コンフェデレーションズカップ終了までの約1カ月に及ぶ合宿の2日目、指揮官は選手たちを前に真剣な表情でこう言い放った。

 本田不在時のチーム力を上げること――。

 それは指揮官が「最も大事な1カ月」と評するこの期間に改善すべきポイントの一つである。

 両者の間にある決定的な差は何か。本田の存在によって左右される要素とは何か。元日本代表MF福西崇史にその答えを求めた。

本田不在時にチーム力が低下するのはある意味当然だが……。

「本田の不在時に結果が出ていないわけだから、もちろん不安がないわけじゃない。でも、理想は誰が出ても力が落ちないチームを作ること。今のチームなら、それができると僕は思う」

「本田不在」に関する福西の考えは一貫している。

 攻撃の中心に本田を据えて“組織力”の向上を図ってきたチームにとって、不在時にそれが低下するのはある意味当然のこと。活動時間の限られる代表チームにおいては、費やしてきた時間によって表現力にはっきりとした差が出る。“軸”を入れ替えてあっさり機能するほど単純な組織ではない。だから本田の不在がチーム力低下を招く一因になっても、何ら不思議ではない。

 一方で、本田にかかわらず軸の不在時に“力”を落とさないことが、代表に問われる本当のチーム力であると福西は主張する。

 もちろん、誰かの不在を想定してチームを作ることはできない。メンバー構成やシステム、戦術を変化させたいくつものプランを持つのはいい。しかしそれを同じ完成度に仕上げることは極めて難しい。それでも、現在の代表に名を連ねる選手たちの能力を考えれば、そのギャップを最小限に抑えることができるはず。そこに、このチームの可能性がある。それが日本代表が抱える大きな課題の一つ、「本田不在」というテーマに対する福西の見解である。

【次ページ】 問われるのは、誰かが“いる・いない”ではない。

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