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<特別インタビュー>
謙虚でポジティブな男、細貝萌の決意。
「強い相手の時ほど、自分は活きる」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byToshiya Kondo

posted2013/05/28 10:30

<特別インタビュー>謙虚でポジティブな男、細貝萌の決意。「強い相手の時ほど、自分は活きる」<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

「守備をベースにした戦い方が必要になってくる強豪国相手にこそ、ボランチで勝負したいという気持ちがあるので」と、ボランチというポジションへの意欲を語っていた細貝。

 謙虚。

 細貝萌の好きな言葉のひとつ。辞書を引けば「控えめでつつましい」との意味を持つが、むしろ彼は自分を計る指標としてこの言葉を捉えている。

「自分を客観的にしっかりと見ることができていないと、謙虚にはなれないと思うんです。客観的に見る、というその意味で大事にしている。周りからすると自分に自信がないって受け止められるかもしれませんけど、そういうわけじゃない。周りの人がどう見えているか、というよりも、自分がどう見えているか。そこは自分の問題。客観的に自分を見ることができているか、いないかが自分にとって大切なこと」

 2012-2013年シーズン。細貝はボランチとして絶対的なレギュラーの座を確保していたアウクスブルクを離れ、ドイツ代表クラス、各国代表がひしめくレンタル元の強豪レバークーゼンに戻った。だが、チーム事情から本職のボランチではなく、左サイドバックとして起用された。シーズン途中からレギュラーの座を獲得したものの、年をまたいでからは再びベンチスタートの日々が続いた。

 周りからすれば、厳しいシーズンを送ったように見える。

 しかし細貝自身の見解は違う。「自分のなかではポジティブなシーズン」とキッパリと言い切る。自分の姿を客観的に見ることができているからこそ、そう言い切れる。

 ドイツから帰国した細貝に今シーズンを振り返ってもらうとともに、ブラジルW杯出場に王手をかけるオーストラリア戦のこと、日本代表のこと、そしてヘルタ・ベルリンへの移籍について聞いた。

「バイエルンに勝つことができて、本当に良かった」

――リーグ戦9試合目にして今季、初先発となったのがバイエルン・ミュンヘン戦(2012年10月28日)でした。左サイドバックでフル出場。開幕8連勝中の相手、それもアウェーで勝利を収めたインパクトは大きかったように思いますが。

「実は、自分の調子自体あまり良くなかったんです。それまで試合にあまり出ていなかったのに、(90分フル出場した)ヨーロッパリーグの試合から中2日での連戦で、コンディション的にはかなり重い状態で入りましたから。

 ミュラーと向かい合って、サイドバックのラームが上がってきて、たまにクロースも流れてきたりする。それで最後のほうにはロッベンも。正直、自分のサイドでやられることは多かったですよ。でも調子自体は良くなくても何とか食らいついていこうと思って、それがやれたかなとは思うんです。そうやって食らいつくことで相手のクロスの精度が落ちたかもしれないし、自分はやっぱりこういうプレーをやっていかなきゃいけないんだと強く感じた試合にもなりました」

――力をすべて使い切ったような感じでしたね。

「連戦だったし、最後のほうはもうヘトヘトでした(笑)。でもバイエルンに勝つことができて、勝利に貢献できたのはとてもうれしかったです」

【次ページ】 シャルケ戦ではベストイレブンに選ばれる活躍も。

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