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労を惜しまぬ守備とロッベンの雪辱弾。
悔しさを糧にしたバイエルン、CL制覇。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2013/05/26 19:15

労を惜しまぬ守備とロッベンの雪辱弾。悔しさを糧にしたバイエルン、CL制覇。<Number Web> photograph by Getty Images

“ビッグイヤー”と呼ばれるチャンピオンズリーグトロフィーを突き上げる主将ラームとバイエルンの選手たち。この時、ピッチには彼らを見上げるドルトムントの選手たちの姿があった。

補強は、監督の狙いを表す最もわかりやすい指標。

「今季のバイエルンは、ブンデスリーガの50年の歴史のなかでも類を見ない最強のチームだ」

 ハインケス監督の言葉は嘘ではないだろう。実際、ブンデスリーガの勝ち点記録、勝利数など、数々の記録を打ち立てたのだから。

 補強はチーム、あるいは監督の狙いを表す最もわかりやすい指標である。守備を“これでもか”というほど徹底的に強化する――そんな監督のメッセージを如実に体現した補強策は、レギュラーだった選手たちの意識も自然と変えていった。実際、リベリーやロッベンといった攻撃的な選手までもが、自陣まで戻り相手のピンチの芽を摘みとる献身的な姿が、今回の決勝も含め、今季のバイエルンでは何度も見られた。

 だからチームの誰に聞いても、今季のバイエルンの強さの理由は同じ答えになる。

「強さの秘訣は、僕たちの守備にあるんだ!」

 バイエルンがユベントスやバルセロナをなぎ倒し、ドルトムントがマンチェスター・シティやレアル・マドリーを押しのけて決勝まで来たことで、今シーズンはブンデスリーガがその地位を大きく上げたシーズンとして記憶されることになるだろう。

 しかし、UEFAのリーグ別ランキングをみてもあきらかなように、その傾向はここ数年にわたって少しずつ表れてきたものだ。

 それは、バイエルンとドルトムントが切磋琢磨を続けながらお互いのチーム力を上げてきた証でもある。

2年後のCL決勝の舞台ベルリンで相まみえるのは……。

 試合終了のホイッスルが鳴って数分間は沈黙していたドルトムントのサポーターも「ボルシア! ボルシア!」と声を送っていた。

 クロップ監督はチームへの誇りを口にしたあと、こう付け加えた。

「僕たちはここからが、再スタートだ。2年後には決勝戦が(ドイツの首都)ベルリンで行なわれるんだよね。きっとそこは、僕らがCLの決勝に戻ってくるのにふさわしい場所だろうね」

 来シーズン、ドルトムントの10番ゲッツェがバイエルンへ移籍する。そして、そのバイエルンにはグアルディオラが監督としてやってくる。

 このファイナルは少しずつレベルの上がってきたブンデスリーガが生んだパワーを、悔しさを糧にしたバイエルンが吸いあげてきたことを象徴している。

 悔しさと向き合ったバイエルンの時代の幕開けを、この一戦は高らかにつげているのだ。

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