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労を惜しまぬ守備とロッベンの雪辱弾。
悔しさを糧にしたバイエルン、CL制覇。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2013/05/26 19:15

労を惜しまぬ守備とロッベンの雪辱弾。悔しさを糧にしたバイエルン、CL制覇。<Number Web> photograph by Getty Images

“ビッグイヤー”と呼ばれるチャンピオンズリーグトロフィーを突き上げる主将ラームとバイエルンの選手たち。この時、ピッチには彼らを見上げるドルトムントの選手たちの姿があった。

 強さを生むのは悔しさである。

 人はいきなり強くならない。悔しい思いを味わった者だけが、悔しい思いの分だけ、上に行こうともがくのである。

 5月25日に行なわれた2012-2013シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝、歴史の移り変わりを感じさせる史上初めてのドイツ勢対決の勝負を分けたのも、これまでに噛みしめた悔しさの質と量だったのではないだろうか。

 敗れたドルトムントの選手たちが涙を流すのは当然としても、殊勲のロッベンやキャプテンのラームなど、勝利をつかんで無邪気に喜んでもいい選手たちまでもが、試合終了のホイッスルとともに、目元からあふれるものを留めておくことは出来なかった。

守備陣の整備が不十分ならば、さらに労力をかけるまで。

 昨シーズンが始まる前にバイエルンは、新たなスタートを切っていた。センターバックのボアテンクやGKノイアーを補強して、クラブの歴史上、守備陣の補強にもっともお金をかけることにしたのだ。守備を強化すれば道は開けると考えていた。

 にもかかわらず、目標にしていたリーグタイトルの奪還はかなわず。ドルトムントに当時のリーグ最多勝ち点記録を打ちたてられ、連覇を許してしまった。ドイツ杯の決勝でもドルトムントに2-5で敗戦。さらに、地元ミュンヘンで開催されたCL決勝に駒を進めたものの、内容ではチェルシーを上回りながら、PK戦で涙を飲んだ。3つの大会すべてで2位に沈む。勝利は遠かった。

 たび重なる屈辱を味わった彼らが進めたのは、さらなる守備の強化だった。今シーズンの新加入選手の中でDFラインのレギュラーポジションを奪ったのはセンターバックのダンテだけだが、ボランチのマルティネスは中盤の守備を強化するために呼ばれた。攻撃に流動性をもたらしたFWマンジュキッチでさえ、前線からの献身的な守備が評価されての加入だった。

 守備陣の整備が不十分ならば、さらに労力をかけるまでだ。それが彼らのやり方だった。

【次ページ】 序盤、ドルトムントの奇襲にバイエルンの出足が鈍る。

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