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本田圭佑はCLのために残留すべき!?
CSKA、ロシアリーグ優勝までの軌跡。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2013/05/20 11:30
優勝を決めた直後のCSKAのイレブンたち。若い選手が多いチームで、来季以降のさらなる躍進が楽しみなチームとなった。
欧州CL出場権を得たCSKAだが、主力選手の移籍も!?
29節を終えて20勝4分5敗の成績は、チャンピオンの称号にふさわしい。
49得点はゼニトに次ぐリーグ2位で、22失点はリーグ最少である。クリーンシートと呼ばれる無失点試合も16を数える。ロシア代表でレギュラーを担うGKイゴール・アキンフェエフ、CBセルゲイ・イグナシェビッチ、バシリ・ベレズツキを中心とした守備陣は、集中力の欠如から手痛い失点を浴びた昨シーズンを教訓としたのだった。
旧ソ連時代を含めて通算11度目のリーグ制覇を果たしたCSKAは、来シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)にグループステージから出場する。彼らの今シーズンは6月1日のロシアカップ決勝まで続くが、何人かの主力の去就が焦点となってきた。なかでも注目は本田だ。彼とクラブの契約は、2013年末までとなっている。
代表の拘束期間が長い本田に、新チーム移籍は負担大。
移籍と残留を天秤にかけると、残留が重みを持つ。
新天地を求めるとすれば、必然的にシーズン前のキャンプが非常に重要なものとなる。監督やチームメイトの信頼をつかみ、コンビネーションを構築していかなければならないからだ。
ここで障害となるのが、6月以降のスケジュールだ。2014年6月開幕のブラジルW杯から逆算して、2013-14シーズンの欧州各国リーグは通常より前倒しになる。ただでさえオフは短い。
しかも本田は、最長で6月末まで日本代表に拘束される。新しい環境でアピールに必要な時間を得るには、オフを削るしかない。連鎖的にケガが続いている最近のコンディションを考えると、しっかりとした休養が必要ではないだろうか。
本田を含めた現有戦力が顔を揃えれば、CSKAはCLでもそれなりの戦いが見込める。
ドゥンビア、ムサ、チェコ代表トマシュ・ネチドに加えて新たなストライカーを迎え、人材手薄な左サイドバックを補強すれば、決勝トーナメント進出も射程圏内だ。
ロシアPLでの戦いも、刺激に乏しいものではない。スパレッティのゼニトは、組織化されたサッカーを展開する。当初はエトーに頼りきりだったアンジも、ヒディンクのもとで攻守に洗練されてきた。