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本田圭佑はCLのために残留すべき!?
CSKA、ロシアリーグ優勝までの軌跡。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2013/05/20 11:30
優勝を決めた直後のCSKAのイレブンたち。若い選手が多いチームで、来季以降のさらなる躍進が楽しみなチームとなった。
日本代表の本田圭佑が所属するCSKAモスクワが、2012-13シーズンのロシアプレミアリーグ(以下ロシアPL)を制した。5月18日に行なわれたリーグ29節で、2006年以来となる歓喜の瞬間を迎えた。
ロシアPLは今シーズンから秋春制が導入され、16チームによる2回戦総当たりとなった。シーズン開幕前の興味は、ゼニトが3連覇を達成するのかどうかに集まっていた。
イタリア人のルチアーノ・スパレッティが統べるゼニトは、国内の有力なタレントが集うCSKAと並ぶロシア代表の供給源である。昨夏の移籍市場ではベルギー代表MFビツェル、ブラジル代表FWフッキを獲得し、戦力をさらにパワーアップさせていた。
“ストップ・ザ・ゼニト”の最右翼にあげられていたのは、本田が所属するCSKAだ。昨シーズンのゼニトが連覇を達成したのは、ケガ人続出によるCSKAの急激な失速と無関係でなかった。保有戦力がシーズンを通して稼働すれば、ゼニトの対抗勢力になりうると見られていた。
スルツキ監督の手腕が問われた、シーズン序盤の連敗。
ところが、CSKAでは昨シーズン得点王のドゥンビアが開幕早々に戦線離脱してしまう。
第2節で格下アムカル・ペルミに、第3節でゼニトに完敗を喫すると、レオニード・スルツキ監督の周辺が騒がしくなった。
ロシア代表はおろか国内のビッグクラブでプレーした経験さえなく、監督としての経験も浅い41歳のスルツキは、絶えず指導力を疑われてきた。
翌4節のアンジ・マハチカラ戦でも黒星を喫していたら、スルツキはCSKAを去っていたかもしれない。しかし、あのフース・ヒディンクが率い、カメルーン代表FWエトーがキャプテンの腕章を巻くチームを、CSKAは1対0で退ける。ここからチームは、勝点を積み上げていくのだ。