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必殺のクロスを武器にレギュラーへ!
ブンデス1年生、酒井宏樹の明日。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2013/05/17 10:31

必殺のクロスを武器にレギュラーへ!ブンデス1年生、酒井宏樹の明日。<Number Web> photograph by AFLO

新しくSDに就任したドゥフナー氏は、「ポテンシャルのある選手の1人だと確信しているよ。フィジカル面で強く、早さがあり、意欲的だね。我々を本当に楽しませてくれるような姿を想像できるよ」と酒井を評価している。

 リーグ終了まで残り2試合となった第33節のレバークーゼン戦で、ハノーファーの酒井宏樹がついにブンデスリーガでの初アシストを記録した。

 これは、昨夏のロンドン五輪で不動の右サイドバックとしてプレーしていた酒井からすれば、遅すぎると言えるのかもしれない。

 ハノーファーの右サイドバックには、チームのキャプテンであるスティーブン・チェルンドロ(米国代表としてW杯に3度出場)という選手がいる。'98年にハノーファーにやってきてからチーム一筋の34歳。1部に昇格した2002-03シーズンからは怪我をしていた1シーズンを除いて常に20試合以上プレーしており、現在のブンデスリーガに所属するクラブの全フィールドプレーヤーの中で、1つのクラブに在籍する期間がもっとも長い選手でもある。当然、そんな看板選手の後任候補の1人と目されていた酒井にとって、レギュラー獲得の道は決して平たんな道のりではないはずだ。

チェルンドロが負傷するも……酒井の出場機会は増えず。

 ロンドン五輪に参加したためにチームに遅れて合流した酒井は、昨年8月30日のELプレーオフのスロンスク戦で途中からピッチに立つと、得意のクロスからいきなり初アシストを記録する上々のスタートを切った。しかし、その後はブンデスリーガやELでときおり出番を得られるものの、定位置確保とはいかずにシーズン前半戦を終えていた。ところが、チェルンドロがシーズン途中に怪我をしたことで、後半戦はついに酒井に出番がまわってくるとみられていた。

 しかし、今年の1月18日から再開したシーズン後半戦最初のシャルケ戦はソフィアン・シャヘドが右SBとして先発し、酒井はベンチから試合を見ることに。そんな試合が4試合続いたあと……2月17日のニュルンベルク戦で酒井は右SBの先発として試合に出る機会を得た。

 試合は2-1でハノーファーがリードしていたものの、後半ロスタイムにポルターにゴールを決められて引き分けに終わった。この失点に酒井が絡んだわけではなかったのだが、次の試合から再び右SBの先発はシャヘドに戻ってしまったのだ。

 この期間について酒井は「一番苦しい時期」としたうえで、こう説明している。

「実際、今年に入って、ソフィン(シャヘド)に(右SBのポジションを)とられたのがすごい、残念でした。そこで悔しい思いもして、スティーブン(チェルンドロ)も(怪我から)帰ってきて、またベンチ外かもしれないという時にね」

【次ページ】 右MFで出場し、チームトップとなる数のクロスを放つ!

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