MLB東奔西走BACK NUMBER
中継ぎ投手・上原浩治が絶好調!
数字が証明するMLB屈指の凄さとは?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/04/30 10:30
もはやレッドソックスのベンチ内での名物と言ってもいい、上原浩治投手のハイタッチ。笑顔でベンチ内のムードを盛り上げる。
「“こいつには負けたくない”という気持ちが常にある」
これまで上原の投球について何度か考察したことがあるが、今さら技術的な見地からいくら分析したところで、彼の投球の本質を捉えるのは難しいと言わざるを得ない。
現場で取材していると、上原が投げる1球、1球に彼の気合いがヒシヒシと感じられるが、その根源にあるものは技術云々を超えた彼の闘争心だと思うからだ。それでは彼の飽くなき闘争心はどこから生まれてくるのだろうか。
「負けず嫌いと対マスコミです(笑)。それは多少なりともあります。僕は反骨心の固まり。それはジャイアンツ時代から変わってないです。負けず嫌いがなくなったら辞める時だと思うし、“こいつには負けたくない”という気持ちが常にあります。
それと正直年齢的な部分で終わりが見えてきた部分があるので、あとは楽しくやるしかないですし、悔いだけは残したくないという思いはあります」
不当な評価がかきたてる更なる闘争心。
前述した通り、ここまでの上原の活躍が日本で十分に認識されているとは思えない。それもそうだろう。日本メディアの先発投手や野手中心の取材体制もあり、なかなか上原ら中継ぎ投手が大々的に報じられることがないからだ。
自分のピッチングが正当に評価されていないというジレンマが、上原の闘争心をさらにかき立てるモチベーションにもなっているようだ。
「中継ぎに関してはイメージを変えてやろうという気持ちでずっとやってます。日本でも浅尾(拓也・中日)くんが凄く頑張って評価されましたけど、結局、中継ぎはあれだけ投げればケガと隣り合わせです。これもあまり知られてないことですが、先発より中継ぎの方がケガをしやすい。それだけ酷なポジションだということをやっている人だけしかわからないと思います。自分は先発を含め全部経験しているからこそ言えることです。
僕らが世に知られるようになるのはマスコミの力が8、9割ですから。でも日本では投手にランクがつけられている。中継ぎに関しては報道されない部分があるので、自分がどんな記録を出そうと報じられることはないでしょう。もちろん自分がマスコミに嫌われているというのもありますし、それは否定しないです。
これまで敗戦処理もやりましたし、抑えも先発もやりました。その与えられたポジションで自分は常にプライドを持ってやっています。そのやっているポジションを馬鹿にされるような発言は凄く腹が立ちます」