MLB東奔西走BACK NUMBER
中継ぎ投手・上原浩治が絶好調!
数字が証明するMLB屈指の凄さとは?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/04/30 10:30
もはやレッドソックスのベンチ内での名物と言ってもいい、上原浩治投手のハイタッチ。笑顔でベンチ内のムードを盛り上げる。
メジャーリーグの開幕から3週間。今シーズンは開幕から日本人投手たちの活躍が目立っている。その中でここまでのMVPを選ぶとするならば、今年からレッドソックスに移籍した上原浩治投手を挙げたい。
もちろん読者の中には異論もあるだろう。
例えば、勝利数、防御率ともにア・リーグのトップ争いをしているレンジャーズのダルビッシュ有投手はもちろん、ここまで抜群の安定感を誇るマリナーズの岩隈久志投手の存在も捨てがたいのは事実だ。ただチームに及ぼす影響力という面では、現在、激戦区のア・リーグ東地区で首位を走るチームへの上原の貢献度は計り知れないものがあることを忘れてはならない。
岩隈やダルビッシュのような先発投手ではなく、またセーブ機会に登板する抑え投手でもない、“中継ぎ”の上原が、日本で大きく取り上げられる機会は決して多くはないはずだ。
確かにここまでの成績をみても0勝0敗0セーブと、数字的に特筆すべきことはないのかもしれない。だが、ふだん目にしている「上原が○回を投げ、無安打無失点に抑えた」という記事では知り得ない彼の活躍を、我々はしっかりと認識する必要がある。
安定感を誇るレッドソックス投手陣の中でも際立つ上原の役割。
大方の予想を裏切り、4月25日現在、最激戦区のア・リーグ東地区で開幕から首位を走り続けるレッドソックス。
今シーズンから指揮をとるジョン・ファレル監督は、好調の要因の一つに投手力を挙げている。チーム防御率3.49。その安定感を誇る投手陣の中で、上原が果たしている役割はかなり大きなウェイトを占めている。
4月23日までの成績をみると、チーム2位タイの9試合に登板しているのだが、そのうち約半数の4試合で走者をおいた、しかも僅差の場面で登場している。
つまり試合の流れが悪くなったところで、それを断ち切って次の投手につなぐという、かなり難しい場面を任され、そこでしっかり結果を残し続けている。4月25日現在、いわゆる中継ぎ投手の貢献度を測る指標の1つとされるホールド数も5個を記録し、メジャー3位タイにランクしている。
また4月21日のロイヤルズ戦で本塁打を打たれ今季初失点を記録したものの、それ以前の登板8試合では許した走者は2本の二塁打と敬遠による四球の3人のみ。
しかも、報道にもあるように、昨年9月1日から22試合、計18.1イニングで無失点を続け、この間も今シーズンを含め6人の走者しか許していない。成績のみならず、その内容も賞賛すべきものなのだ。