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中継ぎ投手・上原浩治が絶好調!
数字が証明するMLB屈指の凄さとは? 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2013/04/30 10:30

中継ぎ投手・上原浩治が絶好調!数字が証明するMLB屈指の凄さとは?<Number Web> photograph by Getty Images

もはやレッドソックスのベンチ内での名物と言ってもいい、上原浩治投手のハイタッチ。笑顔でベンチ内のムードを盛り上げる。

日本メディアの報道に「中継ぎを馬鹿にするなよ」。

 まだ記憶に新しいと思うが、WBC期間中に田中将大投手の処遇について日本のマスコミが“中継ぎ降格”と報じたことがあった。

 それに対し上原がツイッター上で、

「先発の調子が悪いから、中継ぎに降格?? 降格って何やねん(?_?#) 中継ぎをバカにするなよ。野球を知らない奴が、記事を書くなって思うのは俺だけ??」

 と思わず感情を爆発させたのも、まさに中継ぎが正当評価されていない日本メディアの現状に向けられたものだ。

 そして上原のこうした発言は時として日本のメディアに煙たがられ、彼が主張するように友好的な関係が築けていない。上原がツイッターブログを始めたのも、直接自分の声をファンに届けたい思いからだ。

 もちろん、上原は頭からメディアの存在を否定しているわけでは決してない。彼の投球にしっかりと目を向けてくれていると感じたメディアに対しては、真正面から真摯に向き合ってくれる上原がいることも忘れてはならない。

 だが、これまで上原が築いてきた実績がきちんと日本で認識されていそうもない現状に自身も多少なりとも憤りを感じている。そして、レッドソックス広報が発表している上原関連のデータを見て、改めてその思いを強くした。実は上原がメジャー史上でも屈指の中継ぎ投手であるという紛れもない事実がそこにあるからだ。

データが証明する、メジャー史上でも屈指の上原の凄さ。

 まず昨シーズンの記録なのだが、K/BB比率(四球を分母、三振数を分子にして計算した比率)14.33は近代野球が始まったとされる1900年以降でもメジャー歴代3位に、さらにWHIP(1イニング辺りの平均被安打+与四球数)の0.64でも歴代4位にそれぞれランクしている。

 2010年に中継ぎに転向して以降、通算60イニング以上投げている中継ぎ投手の中でK/BB比率(10.6)とWHIP(0.64)はメジャー1位にランクし、さらに防御率(2.25)と走者得点阻止率(走者をおいた場面で登板しその走者を本塁に還さなかった比率、82.5%)でも同2位にランクしている。

 ちなみに防御率で上原の上の1位にいるのは、今シーズン限りでの引退を表明したメジャー随一のクローザー、マリアノ・リベラ投手だ。

 しかも上原は中継ぎといっても、本人が話してくれたように敗戦処理からクローザーまであらゆる役割をこなしてきた。投げる環境が変わりながらもこれだけ安定した投球を披露し続けているのだから、まさに驚異といっていい。

 先発投手を中4試合で回し162試合を戦うメジャーでは、先発投手の球数制限が必要不可欠であり、それに伴い中継ぎ投手の存在が重要視されている。

 今でも先発完投型が中心のNPBとは比較にならないほどだ。だからこそレッドソックス広報が提示しているように、勝利数やセーブ数、防御率以外でも様々なデータで中継ぎ投手を評価し、それに伴いメディアもきちんと評価するのだ。

【次ページ】 WBC、中継ぎを揃えたドミニカと先発偏重だった日本。

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