セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
イカルディ、ポグバ、ニアン……。
セリエAで世代交代が劇的に加速中!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/04/18 10:30
今年1月、王者ユベントスから2得点を奪い、チームを勝利に導いたサンプドリアのイカルディ。
ユベントスのコンテ監督のもとで才能が花開いたポグバ。
セリエAが華やかだった'90年代中盤から後半にかけて、欧州に君臨していたのは、“イタリアの貴婦人”ユベントスとフランス代表だった。
現在指導者となった当時のリーダー2人の指導によって、今季みるみる頭角を現してきたのが、MFポグバだ。
年代別フランス代表での豊富な経験をもちながら、3年を過ごしたマンチェスター・Uで芽を出せずに、昨年の夏、破格の安値でユベントスへ放出された。
指揮官コンテは、磨けば光るビルドアップ能力と鋭いシュート力を持つポグバをリーグ連覇に必要な戦力として見出した。フィジカルを鍛えなおしつつ、月を進めるごとに少しずつポグバの出場機会を増やしていった。
スクデット争いのライバル、ナポリ相手にセリエA初ゴールを決めると、21節ウディネーゼ戦では時速100km超の強力なミドルシュートを連発。ドッピエッタ(2得点)も達成し、若くして王者チームの中心になった。
“いぶし銀”の司令塔ピルロの技術とセンスを学び取る。
ユーベの中盤には、チリ代表ビダルやイタリア代表マルキージオなど、実力派MFたちがひしめき合う。ポグバ本人が練習中に意識するのは、“いぶし銀”の司令塔ピルロだ。リーグ屈指のテクニシャンの技とセンスを日々貪欲に吸収するポグバは、1試合ごとに上達している。
「ピルロのすぐそばで練習できることで、自分が上手くなっていくのがわかる。彼こそ僕の手本だ」
精神面でも一皮むけた。練習へ続けて遅刻した昨秋11月、罰として試合遠征から外された。これを契機に、まだ10代の甘えを残していたポグバはピッチ外での行動にも気を遣うようになった。
古巣で急成長する後輩を見たフランス代表監督デシャンは「彼は若くとも機は熟した」と周囲の反対を押し切って、3月のブラジルW杯欧州予選でポグバを初招集した。だが、天王山スペイン戦で老獪なMFシャビにあしらわれ、不用意に危険なファウルを繰り返した結果、2度のイエローカードをもらってあえなく退場。若さを晒して、敗戦の遠因となったことは、本人に猛省を促した。