スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
エース依存はバルサだけじゃない!?
C・ロナウドが背負う「デシマ」という夢。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/04/17 10:30
ガラタサライと対戦したCL準々決勝の第2レグで、先制点を決めたロナウド。
4月9日、イスタンブールで行われたガラタサライとのチャンピオンズリーグ準々決勝第2レグ。
ホームの第1レグを3-0で制し、大きなアドバンテージを持ってこの試合に挑んだレアル・マドリーは、思わぬ冷や汗をかかされることになった。前半8分にクリスティアーノ・ロナウドが先制点を決め、2試合合計4-0とリードを広げたものの、後半、立て続けに3失点を喫してしまったのである。
終了直前にクリスティアーノ・ロナウドがダメ押しの追加点を決め、最終的には2試合合計5-3で勝ち抜けを決めた。試合終了直後、ピッチ上でテレビのインタビューを受けたクリスティアーノは険しい表情でこう言った。
「自分達で試合を難しくしてしまった。サッカーでプレゼントは禁物。今日の経験を今後に生かさないといけない。試合は90分間プレーするものだ」
彼が怒るのも無理はなかった。緩慢なプレーからピンチを招いた末、エースのゴールで帳尻を合わせる。今季のレアル・マドリーはそんな試合を何度も繰り返してきたからだ。
崩壊寸前のレアルをつなぎ止めるC・ロナウドの奮闘。
シーズン前半と比べれば良くなってきたものの、現在もレアル・マドリーは決して盤石とは言えない状態にある。
集中力の欠如が目立つ守備陣は、ガラタサライとの第1レグで完封するまで公式戦7試合連続で失点。攻めてはベンゼマとイグアインの得点数減少が顕著で、リーガ31節終了時点で前者は16ゴール、後者は15ゴールと、シーズン終了まで1カ月と少しの時点でそれぞれ計31ゴール、26ゴールを決めた昨季の約半分にしか至っていない。
それでも宿敵バルセロナを下して国王杯(コパデルレイ)決勝に勝ち進み、CLでも3年連続で準決勝に辿り着くことができたのは、ひとえに毎試合のように重要なゴールを決めてきたクリスティアーノの存在があったからに他ならない。
今季のクリスティアーノの総ゴール数は48戦50得点。その内訳は10戦11得点のCLをはじめ、コパデルレイは6戦6得点、優勝の望みが失われて久しいリーガでも30戦31得点、スーペルコパ・エスパーニャまで2戦2得点と、あらゆるコンペティションで1試合1ゴールのペースを保ってきた。