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悪条件を越えて“日本らしく”勝て!
ヨルダン戦で見えてくる本当の実力。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2013/03/25 13:40
2012年6月、埼玉スタジアムで行われたヨルダン戦では、6-0と日本が圧勝。だが今回、ヨルダンのホームで臨む一戦ではヨルダンのメンバーも大きく変わり、全く予想がつかない。
ヨルダンに敗れた豪州の将の言葉に学ぶべきこと。
加えて、昨年9月にオーストラリアから白星を奪った成功体験も、このチームの勢いを後押しするだろう。あの日、敗軍の将となったホルガー・オジェックの言葉は、日本がそのまま頭に入れるべき教訓に満ちている。
「我々は大きな失望を味わった。本当にお粗末な前半を過ごしてしまったと言っていい。我々は試合に入ることができず、パスワークにも大きな問題を抱え、最後までいつものリズムで戦うことができなかった。我々はあまりに多くのロングボールを使ってしまったが、私にはなぜそのようになってしまったのか分からない」
それはまるで、カナダ戦の日本を評しているようでもある。
土壇場で本来の力を発揮できなかった一昔前の日本とは違う姿を!
少し乱暴な言い方をすれば、香川真司の最適ポジションはトップ下か左サイドか、あるいは中村憲剛をスタメンで使うべきか否かについては、さほど重要なトピックではないとさえ思う。個人がチームを機能させるわけではなく、チームが個人を機能させるのが“あるべき姿”だから。
大切なのは、足をすくわれそうな条件がこれほど揃った一戦で“日本らしいサッカー”で確実に勝利を手にすること。さらにその結果として、W杯の出場権を手にすることである。そのために求められるのは、相手を懐に飛び込ませて受け身に回ることのない攻撃の姿勢である。当たり前のことだが、上から目線で構えて臨めば隙は生まれやすい。
本田もいない。長友もいない。直前のカナダ戦で不甲斐ない姿を晒し、課題も露呈した。しかしそんなことをあっさり忘れさせてくれるほど気持ちのいい快勝を期待したい。土壇場で本来の力を発揮できなかった一昔前の日本とは違う、今の日本代表の力を見せつけてほしい。
それができるか否かで、1年後に迫った本番への期待も成果も大きく変わるだろう。この一戦の結果は、日本代表の現在地を測る上で世界を舞台とする6月のコンフェデ杯よりも正確なモノサシとなるに違いない。