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2大会連続でW杯行きゴールを決める!?
ヨルダン戦、岡崎慎司を見るべき理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/03/26 10:32
カナダ戦、右サイドMFとして先発出場した岡崎。前半9分には、相手GKのクリアボールを拾うと冷静に相手DFをかわし、GKの頭を越えるループシュートを決めた。
日本代表が5大会連続のW杯出場に王手をかける今日(3月26日)のヨルダン戦で、あなたの視線の先には誰が映るだろうか。
もしも、誰を追えばいいのか迷っているのであれば、点取り屋を象徴する9番のユニフォームを背負う岡崎慎司を追ってみるのはいかがだろうか。
先週金曜日(3月22日)に行なわれたカナダ代表との親善試合のあと、岡崎はこんな課題を口にした。
「今日は(香川)真司がトップ下をやっていたので、もっとあいつを活かせるような場面を作れればよかったんですけど……」
岡崎がお人よしだから、こんな発言をしたわけではない。
では、この発言の真意はどこにあるのだろうか。
「周囲を活かす」という特長を自信をもって語る岡崎。
そもそも、岡崎は、現代表の選手の中で香川の能力を最も高く評価している選手の1人だ。かつて、こんな話をしていた。
「真司は色んなことをやろうとしてくれているけど、(チームの攻撃の)スイッチを入れられるというのはあいつの一番の武器なんですよ。あいつが左サイドで作ってくれるから、俺は右サイドで活きるんですから」
カナダ戦における香川とのコンビネーションについて、岡崎はこう分析する。
「たぶん真司なんかは、『(トップ下の選手は)サイドに寄るな』と監督から言われていたので、自由に動き切れなかった部分があったんじゃないですかね。でも、だから、次の試合で、もうちょっと自由にやろうかという反省点が出るので、色んな選手が出たのも含めて良かったんじゃないかなと思います。真司はこっちに上手く寄ってきてくれるという能力がある。(香川と)何回かワンツーをチャレンジしたシーンもあったし、ああいうのがカギになってくるんじゃないかな。あるいはチョン、チョンと(お互いに)さわりながらリズムをとって、そこから逆サイドに(展開して)いくとかね」
ここでは、岡崎は香川の持っている力を引き出したいと話していたが、それだけにとどまらない。乾貴士や前田遼一らの攻撃陣はもちろん、あるいは内田篤人や長谷部誠など、右MFである自分とポジションの近い選手にいたるまで、他の選手の能力を引き出すことについて考えている。
岡崎がチームメイトについて言及する理由は、自分の特長の一つはバランスをとって周囲を活かすことだという認識があるからだ。
では、自らの特長をそのようにとらえ、堂々と話せるようになったのは何故だろうか。
ヒントは今シーズン、シュツットガルトでの戦いで味わってきた苦悩のなかにある。