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目標は「J1復帰」だけじゃない!
長谷川監督はガンバをどう再生する?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/01/24 11:50
1月21日、クラブハウスでの新体制会見後にフィールドに出て、ファンに挨拶をした長谷川監督。「J2はJ1と違って(代表戦のための)中断期間がない。年間を通してレベルを落とさずに戦えるかが鍵」と語った。
今シーズン、J2での戦いとなるガンバ大阪が長谷川健太新監督の下、始動した。
最大の目標は、「復活」をクラブのスローガンに掲げているように、J1復帰である。だが、そのためにはこれまでの継続ではなく、新しい指揮官がどのくらいガンバを変えることができるかにかかってくる。それを成し遂げることができればJ2優勝はもちろん、J1昇格後もすぐに優勝争いできるチームにまで昇華させることができるはずだ。
では、どうやってガンバを改革していくのだろうか。
長谷川監督は、ある程度、清水エスパルス時代のやり方を踏襲していくはずなので、その6年間の足跡を探れば、ガンバでのチーム作りが見えてくるだろう。
すでに清水でも実績ある、守備陣の強化策。
ガンバで最初にメスを入れることになるのは守備だろう。
実は、エスパルスで監督になった時、最初に着手したのも守備のテコ入れだった。失点が多く、守備が脆弱だったからだ。そのため、まず最初に「失点を減らすのは、システムの問題ではなく、球際の強さ、カバーの仕方などに加え、個々がさぼらないことだ」と、根気強く選手に組織的な守備の重要性を説き、前線から積極的にプレッシングする守備を取り入れた。その甲斐あって、2年目には守備が機能し、失点数がリーグ2位と飛躍的に減少したのだ。
おもしろいのは、その時とガンバの監督に就任した現状が似ているということだ。
昨年のガンバは今野泰幸ら個々の能力が高いDFはいたが、最後までグループで守ることができず、守備のシステムが破綻していた。そのため65失点と札幌に次いで2番目に多い失点数となり、それがJ2降格の一因になった。
今回もエスパルスの時と同様に、まずグループで守ることの意識付けを徹底し、新たな守備システムを取り入れ、守備の建て直しを図っていくことになる。
ガンバの“淡々”とした雰囲気を、新監督が打ち壊す!
長谷川監督の“厳しさ”もガンバを大きく変えてくれそうだ。
ガンバは、選手間の仲が非常に良い。チームカラーも主力である遠藤保仁ののんびりした雰囲気が浸透し、お互いに厳しく言い合うムードはない。選手も黙々とプレーするタイプが多く、クールに戦うことがチームスタイルになっていた。
だが、長谷川監督は沈黙や“淡々”を良しとしない。エスパルス時代は、寡黙だった伊東輝悦に声を出すことと戦う姿勢を前面に出すことを要求し、淡々とプレーする他選手にもその姿勢を強引ともいえるほどに求めた。当初、選手は「怒られるから声を出していた」ということだったらしいが、それがやがて当たり前になり、コーチングの向上に繋がり、お互いをフォローし合えるチームになったのだ。