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東京ではないようでやはり東京。
青梅に福生、下り坂ポタリング。 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2012/12/31 08:00

東京ではないようでやはり東京。青梅に福生、下り坂ポタリング。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

青梅のレトロなバス停の前で、今回の輪行のお供となった愛車BD-1をパチリ。2013年も、この調子で全国を自転車で走り回る予定ですので、ヨロシク!

鉄道公園で0系新幹線の運転席に座るという至福。

0系新幹線の圧倒的な存在感! 車内のボックス座席も運転席も、そのすべてが懐かしい“夢”の塊だ。

 青梅には鉄道公園というのがある。中心街から線路を越えて駅の裏手すぐ。噂ではかなり昭和な公園らしい。国鉄時代にできたそうな。ちょいと行ってみる。

 行けば、あ、なるほど。デゴイチが置いてあって、ハチロクが置いてあって(いずれも蒸気機関車)、ちょっと古いタイプの鉄道模型が館内を走り回っている。

 でも、私の世代などが胸を突かれるように懐かしく感じられるのは、SLじゃない。むしろ新幹線だ。東海道新幹線の、もちろん0系。あの高度成長を象徴する、団子っ鼻の勇姿がそのままだ。

 車内に入ることができる。

 新幹線のヘンにモダンで、ヘンにレトロな、あの客席シート。座ってみると、わお、シートに染みこんだタバコの臭いが香り立つ(おえ)ような気がするよ。40年前にそのままタイムスリップできる。

 この新幹線、運転席にも入っていける。

 その運転席に上ってみると、わお、何だこれは。当時の図鑑でよく見たあれそのままだ。でも……、そうだったのか、よく見ると木製で(!)、シンプル過ぎるほどシンプルで、ロシアンモダンというか、過去の人が夢見た未来デザイン。これにはなんだか意味なく泣ける。

 行くべし、鉄道公園。私は断言するが、鉄ちゃん層と、自転車マニア層は、かなりの部分で共通している。特に私の世代はそう。だから、ぜひ。

バカボンのパパが吐き続ける毒が、いまだ漂う「赤塚不二夫会館」。

 もうひとつ、そろそろ昭和昭和でゲップが出そうだが、青梅には赤塚不二夫会館がある。これまた南に向かって路地を抜けると(自転車はむしろ押して行った方がいい)すぐだ。

 バカボンのパパがいて、チビ太がいて、ひみつのアッコちゃんがいて、おそ松くんがいて、ニャロメがいる。入るなり、これまた懐かしい。昭和の匂いプンプンである。

偉そうになってしまうはずの立像も、パパの手にかかれば逆立ちになってしまうのである。

 ただ、赤塚会館、懐かしいばかりじゃないのだ。「あ、そうだ、そうだった!」と思い出したのは、赤塚マンガに漂う「毒」のことだ。

 とくに中に展示してある「少年マガジン」昭和47年51号「天才バカボン10本立て大興行」の回を見るがいい。私など「数ある赤塚作品の中、会館の人は、よくぞこれを展示した!」と思うけど、いやはやアバンギャルドというか。ホモあり、足形(?)あり、手抜きあり、リアルあり、じつにくだらない。過激にくだらない。もちろん褒め言葉である。

 バカボンのことや、赤塚不二夫のことを、ユーモアほのぼのマンガと、そのマンガ家だと思っている人がいたら、それは大間違いだということが分かる。

 彼は間違いなく、最先端を走る昭和のアーティストだった。あらゆるギャグの可能性に紙とペンだけで挑んだのだ。

 赤塚会館の横には、昭和レトロ商品博物館なる、昭和レトロな博物館がある。内容は「思った通り」の懐かしさに満ち満ちている。紙芝居の黄金バットや、象が踏んでも壊れない筆箱や、サンスター・スパイ七つ道具などが展示物。

 うまいな、この並び。善良な昭和のオジさんオバさんは、この二つの記念館を見て「懐かしいわね」と感じ入り、若干ヒネクレた人、または当時を知らない若い人は、この二つの対比により、赤塚会館の中に仕組まれた毒に気づくわけだ。

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