日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ガンバの遠藤と、日本代表の遠藤。
不動のボランチが抱く悲壮な覚悟。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2012/12/09 08:02
J1最終節、ジュビロ磐田に1-2で敗れ、17位でリーグ戦を終了、J2降格が決まった。
華やかな席に、一人浮かない顔があった。
横浜アリーナで開催された2012年のJリーグアウォーズ。J2降格という厳しい現実を突きつけられて間もない遠藤保仁は、硬い表情でベストイレブンを受賞した。壇上、10年連続となる栄誉にも「(受賞は)ないと思っていたので……」と戸惑いを隠せないように低いトーンで声を発した。それでも最後には「来年は違うステージですけど、優勝して再来年はJ1で強いガンバを見せたい」と気丈に言った。
ガンバ大阪は今季リーグ最多の67得点を挙げながらの降格。課題であった守備の再建が図れず、最下位コンサドーレ札幌に次ぐ“準ワースト”の65失点を喫したことが残留争いを抜け出せなかった大きな要因だと言えた。全員の連動した守備を徹底できず、チームを降格させてしまったことに大黒柱である遠藤も責任を強く感じているようだった。
彼は言うまでもなくザックジャパンの主軸。ブラジルW杯前年となる2013年は代表にとってもW杯最終予選、夏にはブラジル、イタリア、メキシコの強豪と同組に入ったコンフェデレーションズカップも控えるなど重要な一年となる。
Jリーグ16年目で初めてJ2でプレーすることが代表でマイナスに働くことはないのか。そして遠藤自身、この現実をどう捉えているのか――。
J2の過密日程は「実戦が多いほうがいい」と憂慮せず。
今のところ、ガンバ残留が基本線である。
最終節のジュビロ磐田戦に敗れて降格が決まった直後、遠藤は「契約が残っているので(チームに)残ります。今後どうなるかは分かりませんが」と含みを持たせながらも残留への意思を示したことはメディアにも大きく取り上げられた。この日、授賞式が終わってからも「長年一緒にプレーした選手もたくさんいる。10年以上ここでプレーしてきているわけだし、一番はまずガンバのことを思いたい」とコメントを残した。チームへの愛着を、あらためて口にした形となった。
J2でプレーすることで何が遠藤に影響を及ぼしていくのか。
まずJ1とJ2の違いにおいて、試合数の差が出てくる。18チームによるJ1は34試合だが、22チームによるJ2は42試合。単純計算でいくと8試合多くなることになる。だがここは大きな問題にはならないように思う。2012年の遠藤はリーグ戦34試合に全試合出場(チームではほかに藤春廣輝のみ)を果たし、ACLでは4試合、ナビスコカップ2試合とガンバ大阪でこれまで計40試合に出場している。
「僕はJ2が別に過密日程とも思っていないし、そこに関してはまったく気にしてません。自分の場合、より実戦が多いほうがいいし、試合数が多いのはいいことだと思っていますから」
週に2度、試合があったほうがリズムをつくりやすいタイプと公言したこともあるほど。本人も試合数の増加はまったく気にしていないと言える。