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ガンバの遠藤と、日本代表の遠藤。
不動のボランチが抱く悲壮な覚悟。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byToshiya Kondo

posted2012/12/09 08:02

ガンバの遠藤と、日本代表の遠藤。不動のボランチが抱く悲壮な覚悟。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

J1最終節、ジュビロ磐田に1-2で敗れ、17位でリーグ戦を終了、J2降格が決まった。

“格下”相手との戦いで自分のサッカーを磨けるのか。

 日程より問題になるのは、やはり「レベル」だろうか。

 昨年は柏レイソルがJ2から昇格して即、優勝を果たし、FC東京もJ2制覇を決めた後で天皇杯を制した。今年もサガン鳥栖が昇格1年目で5位に躍進している。昇格した3チームのうち、1年で降格の憂き目にあったのは最下位のコンサドーレ札幌のみだ。以前よりJ1とJ2のレベルが多少縮まっているのは間違いない。ただそうは言っても、カテゴリーの実力差は確実にある。

 現有戦力をある程度維持できればJ2でガンバに匹敵するチームは、同じく降格するヴィッセル神戸ぐらいだろう。ゆえにガンバと対戦するJ2のチームのほとんどが“格下”と言え、大体の相手が守りを固めて戦ってくることは容易に想像できる。

 遠藤としては10月の欧州遠征でフランス、ブラジルと対戦してきたことで来年はより世界を意識して自己のレベルを上げる一年としなければならない。そのためには“格下”よりもJ1のライバルチームたちと戦って揉まれたほうが、自身のレベルを上げていける確率は高い。それがJ2だと難しいわけだ。

「今は天皇杯を全力で勝ちに行くことだけを考えている」

 一方で欧州の舞台で揉まれているザックジャパンの面々は間違いなく世界を意識して確実にレベルアップしてくるはず。遠藤にとってレベルの停滞はどうしても避けなければならないが、環境の違いで成長の速度にも影響が出てくる怖れがあるということだ。

 もちろん同僚の今野泰幸などのように、J2でプレーしながらレギュラーの座を不動のものにしてきた例もある。ただ、レベルの下がった環境で自分のレベルをグッと引き上げることは決して容易でないのは確かだ。

 遠藤からすればそれは百も承知なのだろう。そこで環境の差を少しでも埋めるために彼が視線を向けているのは「今」。来年のことなどではなく、4回戦まで勝ち進んでいる天皇杯なのである。

 彼はきっぱりとこう言い切った。

「今は天皇杯のことしか考えていないんです。(今後のことを考えるのは)それが終わってからでも十分に時間はあるし、今は全力で勝ちに行くことだけを考えている。優勝してACLの切符を取ることも目標ですから、これから天皇杯に向けていい準備をしていかなきゃいけない」

【次ページ】 天皇杯を制し、ACLに出場することがW杯につながる。

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遠藤保仁
ガンバ大阪

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