自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
色々あるけど、でもやはり……
“自転車シティ”宇都宮に学べ!
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/10/31 06:00
戦後間もなくから餃子が流行っていたという宇都宮。浜松との“餃子戦争”は、昨年の東日本大震災後に和解。浜松の祭りに宇都宮の餃子店が出店するほどに仲良くなった。
商店街が真っ赤に染まる……圧倒的な自転車の街。
JRの宇都宮駅を背にして、目抜き通りを真っ直ぐ。東武ホテルグランデが見えたら左折する。すると、オリオン通りという宇都宮きってのアーケード街がある。
見ると、アーケードの中が真っ赤っかだ。
写真を見ると分かると思うけど「宇都宮を赤く染めろ」と書いてある。その横に自転車のシルエット。
なるほど、これ、地元の自転車チーム、「宇都宮ブリッツェン」の応援ポスターで「ジャパンカップで優勝せよ、宇都宮」なのだ。赤く染めるのは、ブリッツェンのイメージカラーが赤だからだ。
ふーむ、このオリオン通りに限らず、この街でのブリッツェンのプレゼンスは相変わらずすごいなぁ。自転車チームがこんなに市民の支持を得て、街と一体化している例なんて、この宇都宮市だけだろう。飯田(長野県)にある地域密着型のチーム「ボンシャンス飯田」にも近いものを感じたが、ここまで大規模じゃない。
街をめぐっても、証券会社が、地元銀行が、喫茶店が、と、あらゆる店舗がブリッツェンのポスターを貼って応援している。ブリッツェンだけじゃない。街をあげて、自転車スポーツというものを支援していこうという気分が濃厚なのだ。
この日はジャパンカップ本番前日、「クリテリウム」レースが行われる。世界各国から集まった超一流の選手たちが、往復1.55kmの超極小区間を20周してタイムを競い合う、という形式のレースのことである。
車道が封鎖されると、沿道にはみるみる人が集まり、あっというまに人だかりの中のコースができあがった。
この熱気。
この日と翌日の本番で、のべ10万人以上(2011年実績)を集めるのだそうだ。なるほど、宇都宮が自転車に力を入れることのできる一番の原点はここにある。これだけの人々が日本中から宇都宮に集まり、泊まり、カネをおとしていく。
これは、明らかにビジネスになっている。
ビジネスになると、たしかに人も街も変わる。
コペンハーゲンやアムステルダムと並ぶか? 宇都宮の自転車道。
という宇都宮なんだけど、クリテリウムおよびジャパンカップ本レースの話は別の自転車記事におまかせするとして、私の話はあくまで「TOKYOルート24」つまりポタリングにあるのである。というわけで、翌日、宇都宮をポタポタと走ってきた。
何を見に? もちろん宇都宮の「自転車シティ度」を見るためにだ。
さてお立ち会い。「自転車のまち宇都宮」は、いったいどの程度「自転車のまち」なんであろうか。
まずは街中、市内中心部から。
もうブロンプトンという自転車は、街中ちゃりちゃりポタリングにぴったり。天気もよかったし。
まず行ってみたのが、噂の「市道4号線」だ。
私が聞いたところでは、この通り、驚いたことに自転車レーンを通すために、歩道を削って車道にし、その上で、一方通行の自転車レーンのブルーゾーンを敷いたというのだ。
これはまさに日本初の画期的な試みであって、さすがは宇都宮、と、私を泣かせるのに十分であった。
まずはここに来る前に宇都宮市から取り寄せた衝撃写真をご覧じろ。
上が「使用前」、下が「使用後」。
驚くでしょ。コペンハーゲンやアムステルダムにも通じる、この“自転車分かってる”ぶり!
もうこの目で見るしかないと、私は思っていたのだ。
さあ、その実態はいかなるや?