自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
色々あるけど、でもやはり……
“自転車シティ”宇都宮に学べ!
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/10/31 06:00
戦後間もなくから餃子が流行っていたという宇都宮。浜松との“餃子戦争”は、昨年の東日本大震災後に和解。浜松の祭りに宇都宮の餃子店が出店するほどに仲良くなった。
今回はタイトルの「TOKYO」から離れてみた。
離れてみたとは言っても、新幹線で東京駅から1時間もかからない。宇都宮である。
宇都宮と言えば、自転車マニアには特別の意味がある。ひとつには「ジャパンカップの」だろう。アジア最高峰の自転車レースは、ここ宇都宮で、毎年秋に開かれるのだ。
もうひとつが「自転車のまち宇都宮」として。
この宇都宮という街は、現在「住めば愉快だ宇都宮」という一連のキャンペーンを展開している。何が愉快かというならば、餃子に、ジャズに、カクテルに…… と、宇都宮の名物(一部“自称”も含む)を主軸にしたキャンペーンなんだけど、この中に「走れば愉快だ宇都宮」があるのだ。「走る」とはもちろん「自転車で走る」ことである。
都市交通として自転車を使おう、宇都宮は自転車のまちだ、と、市民生活と観光の主軸に、自転車を据えようという試みだという。
これはひとつ行ってみなくてはなるまい。
で、どうせ行くならジャパンカップウィークに。ちょうど10月だから。
いやー、自転車ウィーク、宇都宮は真っ赤に燃え上がってたぞ。
宇都宮餃子の本質は……“地獄の餃子”(いい意味よ)!!
確かに“餃子の街”である。
新幹線で駅前に着いたところから、街中にはもう餃子屋がたくさん。さまざまな工夫を凝らした餃子が、それぞれに覇を競い合っている。
私が思うに、宇都宮餃子のいいところは、野菜が多いところでね。ヘルシーということもさることながら、味がさっぱりしているので、いくらでも食べられる。決して個性が強い味というわけじゃない。食べても食べても「もう少し」と手が出る。永遠に満足しない“地獄の餃子”。これが宇都宮餃子の本質とみた。こりゃ消費量が増えるわけだわ。
おかずというより、むしろ主食に近い。丼飯と味噌汁みたいなもんだ。非常にベーシックな味として、この街の人は、日常的に餃子を食べているんだろう。
最近では浜松市の方が消費量が増え、宇都宮は2位になったというんだけど、いや、もう「餃子の街」の冠は、最初に宇都宮がゲットしたという事実は変わらない。
消費量が云々というよりも「餃子」というものに最初に目をつけ、餃子を町おこしのアイテムにまで成長させたという事実がエラいのだ。
で、その餃子の香り漂う中(おおげさ)、駅を背にして、目抜き通りをブロンプトンでのんびりと走っていく。
「オリオン通り」に入ると、もう目の前は真っ赤っかだった。