MLB東奔西走BACK NUMBER
ダルビッシュがついにメジャー仕様に!?
野茂を超えた、後半戦の活躍の意味。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/09/30 08:01
首の張りを訴え、25日の登板を緊急回避したダルビッシュ有。後半戦も再び好調を維持していただけに、早い回復が望まれる。
今シーズン、ダルビッシュ有投手について、“あるテーマ”を意識しながら注目してきた。
それは、メジャーにおいてダルビッシュがいつ、どのように“覚醒”するのか、ということである。
ことの始まりは今年1月、ロサンゼルスに自主トレにやってきた日本ハムの木田優夫投手に、メジャー移籍が決まったダルビッシュについて色々と尋ねてみたことだった。その内容についてはキャンプイン直前にこのコラムで取り上げているが、その冒頭部分に木田のこんな見解を紹介している。
「彼の凄いところは、自分の技術とかトレーニングの仕方、調整方法などに、たぶんこだわりがないんです。“これがいいよ”ということがあればどんどん試していって、自分のモノにしている。だから、調整方法にしてもピッチング・スタイルにしても引き出しがすごく多い。その中で、その場で自分に合ったものを選択しながらやっていっている。そういう意味でもこれからまだまだいいピッチャーになっていくと思う。だから、間違いなくメジャーで成功すると思います」
だからこそ、メジャー1年目のダルビッシュは、経験を重ねるごとに自身の引き出しを増やしていきながら、メジャー仕様の投球へと“覚醒”していくのだろう、そう踏んでいた。
8月28日のレイズ戦以降、ずば抜けた安定感を見せるダルビッシュ。
その時が来るのをずっと観察してきたのだが、9月8日のレイズ戦登板後に、ダルビッシュ自身の口からこんなコメントがなされた。
「打者をわかって自分のやるべきことをやれば、大丈夫だと思うし、それがしっかりとできた。同じような投球を続けていければ、僕自身も満足できるかなと思う」(スポーツニッポン)
「(8月28日の)タンパの試合から、大丈夫かなという感覚はあります。メカニックの部分が大丈夫かなというのができたので、全部の球を自信を持って投げられている」(日刊スポーツ)
たしかに、8月28日のレイズ戦以降、彼の投球はずば抜けている。
5試合に登板し、4勝0敗、防御率1.46。さらに奪三振42に対し、与四球はたった8と、その安定感は、サイ・ヤング賞を争うメジャー屈指の投手たちにも肩を並べるものだ。
残念ながらダルビッシュの口から具体的な“変化”は明らかにされていないが、木田が言うように引き出しの出し入れをする中で、メジャーでも通用する自分の投球を確立できたようだ。