MLB東奔西走BACK NUMBER
ダルビッシュとメジャーを熟知する男、
木田優夫が語る「約束された成功」。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/02/08 10:31
アリゾナ州サプライズで行なわれるレンジャーズのキャンプインは2月23日を予定している。メジャーのマウンドで投げるその日を、現地のファンも心待ちにしている
このオフ、メジャー球界で最も注目を集めたダルビッシュ有投手の移籍がついに決まった。レンジャーズ入団決定後も次々と彼の今後を予想する報道、論評が続いているが、このコラムでも2つの観点からダルビッシュについて考察してみたいと思う。
まずは専門家から見たダルビッシュについて論じてみたい。1月にLAに自主トレに来ていた日本ハムの木田優夫投手にいろいろ話を聞いてみた。
今さら説明する必要もないと思うが、今年9月で44歳となる木田は、プロ26年目の最年長右腕としてここまで生き長らえた投球技術、コンディショニング理論を持っている。そして自身もタイガース、ドジャース、マリナーズと5年弱もの間、メジャー球界に在籍していた。さらに2009年から日本ハムに所属し、この2年間、実際にダルビッシュと間近に接してきた。ダルビッシュを語ってもらう上で、これほど適した人物はいないだろう。
こだわりのなさこそが、更なる成長を促す。
彼は“ダルビッシュがメジャーで十分に通用する”という大前提のもと、以下のように語ってくれた。
「まず第一に、僕がプロに入り見てきた中で、ダルビッシュがナンバーワンの投手だというのがあります。そして、彼の凄い向上心。技術的なこと、身体のことなど、色々なことに凄く向上心を持っている。これまで使用球の違い、マウンドの違い、中4日の調整などに戸惑う日本人投手がいたかもしれませんが、僕が(日本ハムで)2年間見てきた彼の野球に対する姿勢があれば、普通に克服できるんじゃないかと思います。
言い方を変えると、彼の凄いところは、自分の技術とかトレーニングの仕方、調整方法などに、たぶんこだわりがないんです。“これがいいよ”ということがあればどんどん試していって、自分のものにしている。だから、調整方法にしてもピッチング・スタイルにしても引き出しが凄く多い。その中で、その場で自分に合ったものを選択しながらやっていっている。そういう意味でもこれからまだまだいいピッチャーになっていくと思う。だから、間違いなくメジャーで成功すると思います」