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来季のユニフォームもヤンキース!?
イチローの契約を左右する4人の男。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNaoya Sanuki
posted2012/10/01 10:31
試合前の守備練習で、外野のポジションで共に競いあっているベテランのイバニエスと談笑するイチロー。
イチローが9月に入ってから“レッドホット”、爆発的な打撃を見せている。
主砲の一人、一塁手のマーク・テシェイラがケガで戦線離脱している間、イチローがチームの勝利に貢献したことはいうまでもなく、ポストシーズン進出に向けて激しい争いが続いているだけに、ヤンキースとしては本当に実のあるトレードをしたと思う。
たしかにイチローは、水を得た魚のようだ。優勝争い、伝統のヤンキースのユニフォームといった「スパイス」が復活をもたらしたのは疑いない。ヤンキースのスカウトが、「イチローは弱いシアトルで退屈しているだけ」と見て取り、獲得に動いたのは正解だったのだ。
イチローの好調ぶりを見るにつけ、全米のメディアはイチローのヤンキース残留の可能性を議論し始めている。
たしかに、9月の活躍で再契約のチャンスが生まれてきたのは間違いない。だが、本当のところはどうなのか。彼の状態だけではなく、ヤンキースの外野陣の契約がポイントになってくる。
イチローの来季を左右する、同僚たち4人の契約状況は?
9月時点でのヤンキース外野陣の契約状況を見てみよう。
●ニック・スウィッシャー(31歳/打率.262 本塁打24本 OPS.818)
外野手のなかではスウィッシャーの動向がもっとも気になる。今季でヤンキースとの契約が切れFAとなるが、パワーがあるのと内外野をこなせることで人気が高い。
スウィッシャーの最大の強みは、1シーズンだけ爆発的な成績を残すのではなく、8年間にわたって安定的な成績を残してきたことだ。年齢的にもあと2、3年は同じレベルでのパフォーマンスが期待できる。
ヤンキースが再契約を申し出ても不思議はないが、スウィッシャーが複数年の大型契約を望み、他球団の申し出を受けることも考えられる。