ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
吉田や林、OA枠の選手の想い……。
急速に強まる関塚ジャパンの“絆”。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byPress Association/AFLO
posted2012/07/23 12:00
メキシコ戦で決勝点をきめた大津を祝福するキャプテンの吉田。関塚監督も「最後までチームが1つになって戦うことができたのが収穫」とコメントしている。
IT IS TIME TO GO.
出発のときがやってきた。
イギリス時間、7月21日の午後5時過ぎ。晴れ渡る空のもと、サッカー日本代表用のウェアから、オリンピック選手団のスーツに着替えたU-23日本代表選手18名が、ノッティンガムから、オリンピック初戦の地、グラスゴーへと旅立っていった。
メキシコ戦を終え選手達が取材エリアに出てくる前、ロッカールームからは拍手が聞こえてきた。ここまでメンバーとしてチームに帯同していたバックアップメンバー4人への拍手だった。このメンバー4人は、ここでチームとは別れ日本に帰国する。
バックアップメンバーのうちの1人、オーバーエイジのGK林彰洋。実は北京五輪でもバックアップメンバーだった。
ピッチの外では、いつも笑顔を見せている林の周りには穏やかな空気が漂う。その林を注意深く見ていると、試合中、ベンチにいるときも積極的に周りにいる選手に何かを話している。
「チームをひとつにまとめる事に力を注ぐように意識した」
メキシコ戦のハーフタイムには、後半スタートから投入される齋藤学がピッチに入る前、齋藤の肩に手を置いて丁寧に話しかける姿があった。
「ドリブルが相手にとって脅威になると感じたので、いい位置でいけたらリズムを変えていける」と伝え、齋藤自身も「2~3回そういうシーンを作れた。自分の“しかけ”が通用するという手応えも感じた」と、自信あふれる表情で試合を振り返った。
こうして、チームメイトの背中を押す仕事をさりげなくしてみせている林は、チームとともに過ごす日々を、「サポートメンバーとして、チームをひとつにまとめる事に力を注ぐよう意識していました」という。
「チームの中にはシャイな選手もいて、発言できない選手もいるんです。そういう選手もためらわずに話せる状況を作ってあげるよう選手ミーティングでもいい雰囲気を作れるようにしました。チームの中でも主要な選手は意見を言いやすいかもしれないけど、若い選手は、思ったことをなかなか言えずにいることもある。ただ、そういう選手が、チームにとって重要な意見を持っていたりするんです」