なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
フランスはなでしこの双子の姉妹!?
敗戦の裏にある佐々木監督の思惑。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2012/07/20 11:35
佐々木監督は「自分たちのリズムでプレーを正確にやれるかどうかが決め手だった。反省もありますが成果もあった」と試合後に述べた。主将の宮間は「今日の私たちの出来では勝てないでしょう」と素直に敗北を認め、澤は「向こうの方が運動量が多かった。ただ、いい形で崩せたり、シュートチャンスもあった」とコメントした。
昨年の女子W杯をなでしこジャパンが制覇した直後、日本サッカー協会の上田栄治女子委員長に大会総評を願ったことがある。
その際、大会出場国の中で彼が非常に注目していたのがフランスだった。
「タレントが豊富で、チーム戦術はモダン。守備にも穴がない。もし日本が当たっていれば怖かった」
と警戒感をあらわにしていたのだ。
果たして19日(パリ現地時間)、五輪前の総仕上げとしてなでしこが対戦したフランスは、ロンドンでのメダル候補の名に恥じない実力のほどを見せつけた。
日本と双子の姉妹のようなチーム――フランス。
日本の中盤や両サイドバックに終始厳しいプレスをかけ、ボールを奪う。そして攻守が切り替わると複数の選手が一気に攻め上がり、中央、サイドと自在に相手の守備網を切り裂いていく……と書いてきて、なんだこれは日本の攻撃の特徴を表す時にさんざん使ってきた表現じゃないかと苦笑してしまった。
フランスは、日本と双子の姉妹のようなチームなのだ。
だが瓜二つというわけではない。なでしこにない財産を、彼女たちは持っている。だから似てはいるが違いもはっきりわかる、二卵性双生児というべきか。
日本にはないフランスの財産とはもちろん、アフリカ系選手の高さと速さだ。
アフリカ系選手のダッシュ力と高い打点のヘディングに負けた。
なでしこの1失点目は、一瞬スピードを緩めて再加速したFWデリのダッシュ力で完全に最終ラインの裏を取られて勝負あり。
そして2失点目はコーナーキックから、187cmのDFルナールに高い打点のヘディングシュートを叩き込まれた。
一方でなでしこの側も、連動したプレスディフェンス(フランスも積極的にプレスをかけて来るが、連動はしていない)や攻撃パターンの多彩さというフランスにない長所を持っているのだが、それを十分発揮するには至らなかった。