ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
吉田や林、OA枠の選手の想い……。
急速に強まる関塚ジャパンの“絆”。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byPress Association/AFLO
posted2012/07/23 12:00
メキシコ戦で決勝点をきめた大津を祝福するキャプテンの吉田。関塚監督も「最後までチームが1つになって戦うことができたのが収穫」とコメントしている。
北京五輪で吉田が感じた、青山直晃への申し訳ない思い。
五輪メンバー発表の日、かつて吉田がプレーをした名古屋で記者会見が開かれ、彼はこんな発言をしていた。
「北京五輪では、自分が選ばれたのにもかかわらず2試合も出られなくて、本当に悔しい思いをした」
そこで吉田は、青山直晃の名前を口にした。
北京五輪では自分がメンバーに入り、同じDFの青山はメンバーから外れていた。なのに、結局自分は本番では怪我をしてしまったことで1試合にしか出場できなかった……。
「申し訳ない思いでいっぱいだった」と、吉田は当時を振り返っていた。
そして今回も、自分が入った事で外れたメンバーへの心遣いを忘れなかった。
記者からの質問に対し、一瞬いつもの明るいサービストークをしようとしたが、すぐに自らを制した。
「選ばれなかった人に失礼にあたるから、今日は軽いコメントはやめましょう」
彼の人間性が伝わってくる一言だった。
吉田の強烈なモチベーションが、チーム全体を急加速させる!!
始まったらあっと言う間に時間が過ぎていく五輪の日々を、今回のメンバーの誰よりも知る吉田。悔しい経験をしたからこそ、この大会にかける思いも強い。
じっとしている時間なんてない――。
吉田が持つその強烈なモチベーションが、チーム全体を力強く前進させる力となっている。
チームを離れたメンバーの思いも、そして自らの過去の思いものせて、チームはいよいよ本番へ向けグラスゴーへと出発していった。