ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
吉田や林、OA枠の選手の想い……。
急速に強まる関塚ジャパンの“絆”。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byPress Association/AFLO
posted2012/07/23 12:00
メキシコ戦で決勝点をきめた大津を祝福するキャプテンの吉田。関塚監督も「最後までチームが1つになって戦うことができたのが収穫」とコメントしている。
U-20W杯・カナダ大会での経験をしっかり生かした林。
誰もが発言できる雰囲気は、チームが一丸となるために大事なことだと強調する林。それは、彼が戦ったU-20ワールドカップ・カナダ大会での経験が大きかった。
「僕の世代のU-20代表のとき、やっぱり最初は、若手はなかなか意見が言えなかった。そんなとき槙野(智章)や、柏木(陽介)が盛り上げてくれた事で、みんなが発言しやすいチームになれた。そして、本当にいいチームになっていった。その経験があるから……」
キャプテンとしてチームを引っ張っていく覚悟を決めた吉田。
そんな雰囲気を作ろうと、林と話し合っていたのは、同じくオーバーエイジの吉田麻也だった。
彼にとって、このチームでの初めての実戦となった18日のベラルーシ戦。吉田は、「もっと存在感を出していけるようにしたい」と試合後にコメントしていた。
試合中も、DF同士、特にボランチの2人に対しては細部にわたって声をかけ続けていた。時折、怒鳴り声も響いた。
本番までに時間がない中、「コミュニケーション」は欠かせない。交代してピッチを退いた後も、同じくベンチにいるメンバーと話を続けた。メキシコ戦では、自身も90分ピッチに立ち、五輪初戦に向けて大きく前進できたという手応えも感じていた。「まだまだなところはあるけれど、しっかり90分やれたことは大きい」と安堵の表情を見せる。
この2試合、キャプテンマークを巻いてピッチに立っている吉田。出場はなかったが、国内で行われたニュージーランド戦の前、キャプテンとしての役割について聞いてみると、「いや、キャプテンは正式に言われているわけではないけれど、そういう話になったとき、みんなの視線を感じたから、なんとなく空気は読んでいます」と笑った。
22日には正式にキャプテンとして任命されたが、キャプテンであろうがなかろうが「このチームを自分がまとめていくんだ!」という自覚の強さをすでに滲ませていた。