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'10年日本一、'11年最下位のロッテ。
見事に復活して現在首位にある理由。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byKyodo News

posted2012/07/02 12:40

'10年日本一、'11年最下位のロッテ。見事に復活して現在首位にある理由。<Number Web> photograph by Kyodo News

7月1日の対オリックス戦で決勝打を放ったロッテ角中勝也。今季交流戦では首位打者となる打率3割4分9厘を記録している。

衝撃的なデビューを果たした荻野は、いまだ苦境の中に。

 荻野貴も必死だ。だが、彼は今、苦境の中にいる。

 1年目に衝撃的なデビューを果たしたものの、そのシーズン途中に故障離脱してから、今に至るまで波に乗れていない。昨年は開幕スタメンを獲得したが、怪我でシーズンのほとんどを棒に振った。今季は開幕スタメンこそ逃したが、交流戦の期間中に復帰。このオリックスとの3連戦の1、2戦目はスタメン出場したが、3戦目では出場機会がなかった。

「みんなに迷惑を掛けてばかりで、申し訳ないと思っています。自分でも打ち方が分からなくなっているというのが現状ですね。焦ってはいないと思いますけど、結果が出ていないので、求めてしまっているかもしれません。一番いい時に戻るという気持ちではなく、新しい道を行きたい」と逆襲にかけている。

過酷なチーム内競争の裏側には昨季の極端な低迷も。

 とはいえ、こうした競争の原理が生まれたことの背景に、昨年の極端な低迷があることも事実である。

 '10年オフに小林宏之(阪神)、西岡剛(ツインズ)という投打の中心選手2人が急に抜けることになり、それに値する十全な戦力をすぐ整えられなかったことが昨季の不調の原因だ。特に西岡に関してはメジャー挑戦が編成部の予測を上回って早くに実現してしまったことで後手を踏んでしまった。

 だが、チームが長らく不振にある中で、次のシーズンに向けての準備は着々と整えられていた。なんとか昨シーズンいっぱいをかけて遊撃手の根元俊一が成長し、打線の厚みという面でも角中がシーズン終盤から頭角を現してきたことは、チーム戦略が間違えてなかったことの証左だろう。

 チームの青写真をしっかりと描いてた長期的戦略があったからこそ、現在の競争の原理が生まれた。切磋琢磨の中で培ってきたその「強さ」が、今のロッテの礎になっているのだ。

 オリックスとの3連戦は1勝1敗1分けと五分で終わったとはいえ、首位をいくロッテと最下位に沈むオリックスの順位の差は、そこなのかもしれない。

【次ページ】 「次は、内野手の層をいかに厚くできるか」

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