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西武・涌井の抑え転向は成功なのか?
リリーフ投手に必要な条件を考察する。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/06/27 10:30

西武・涌井の抑え転向は成功なのか?リリーフ投手に必要な条件を考察する。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

6月23日、西武の涌井秀章はオリックス戦で9回に救援し、復帰後初セーブを挙げて渡辺久信監督(左)と勝利のタッチを交わす。

 プロ野球界は現在、リリーフ投手の再編時期に差し掛かっている。守護神あるいは中継ぎエースと言われる多くの投手が、不振やケガで戦列を外れているか、満足な成績を残していないのだ。

 その主な投手の顔ぶれを紹介しよう(以下の成績は6月24日現在)。

馬原孝浩(ソフトバンク)            登板なし……右肩手術
ファルケンボーグ(ソフトバンク)  16試合、0勝1敗13セーブ、防御率2.25……右肩張り
武田久(日本ハム)                 18試合、3勝2敗 8セーブ、防御率4.50……不振
岡本篤志(西武)                  24試合、0勝3敗 8ホールド、防御率7.64……不振
ミンチェ(オリックス)                12試合、0勝1敗 3ホールド、防御率9.64……不振
ラズナー(楽天)                   15試合、0勝1敗 6セーブ、防御率4.97……左股関節痛
薮田安彦(ロッテ)                 30試合、0勝3敗17セーブ、防御率2.89……不振
中後悠平(ロッテ)                 26試合、2勝0敗 5ホールド、防御率4.95……調子下降
浅尾拓也(中日)                 21試合、1勝0敗12ホールド、防御率2.25……右肩痛
田島慎二(中日)                 23試合、4勝0敗 9ホールド、防御率0.50……右肩痛
林昌勇(ヤクルト)                   9試合、0勝0敗 3ホールド、防御率0.00……右ヒジ痛
久保裕也(巨人)                  2試合、0勝0敗 0セーブ、防御率9.00……右ヒジ痛
藤川球児(阪神)                25試合、1勝1敗12セーブ、防御率1.90……右ヒザ故障
サファテ(広島)                  21試合、0勝4敗 9セーブ、防御率2.05……一時帰国

“勝利の方程式”を築いた巨人の交流戦制覇は至極順当。

 セ・リーグは順調にシーズン前半を過ごしながらも故障のために戦列を外れている選手が多く、パ・リーグは成績そのものが下降線を描いている選手が多い。いずれにしても、現在チームの戦力になっていないという点では同じで、こういう中で比較的リリーフ陣が安定しているのはマシソン、山口鉄也、西村健太朗で“勝利の方程式”を築いている巨人くらいだろう。

 その巨人が交流戦で17勝7敗(勝率.708)の好成績を挙げて初優勝に輝いたのは、リリーフ投手の出来不出来で勝敗が決まると言われる現代野球では、ある意味当然かもしれない。ちなみに、チーム防御率は2位日本ハムの2.66に圧倒的な差をつける2.29だった。

【次ページ】 成功したリリーフ投手の“履歴”から適任者を考える。

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