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柏&名古屋の2強に迫るクラブは?
開幕直前! 20年目のJリーグを占う。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAkihiro Sugimoto/AFLO SPORT
posted2012/03/09 10:31
新体制のお披露目となった1月の記者会見にて。左から今野泰幸、セホーン新監督、そしてヘッドコーチに就任した呂比須ワグナー。監督就任直前とされた呂比須とセホーン監督はどのような役割分担になるのかなど、ベンチ内の動きも気になるチームとなった。
FC東京は現実路線から“理想主義”へと進路を変える。
同じく、FC東京もスタイルの変更に着手している。
「1年でのJ1復帰」を大前提とした昨季は、大熊清前監督の下で結果にこだわるサッカーを確立。まずは守備を安定させ、個の力の差でゴールを奪うという現実路線をひた走った。サッカーは理想か現実かの2択ではないが、ポポビッチ新監督を迎えた今季はその指針をやや“理想”に寄せようとする意気込みが感じられる。
とはいえ課題は攻守両面にある。今野が去った守備陣には再整備が求められ、渡邉千真、河野広貴、長谷川アーリアジャスールら新顔が多い攻撃陣には一刻も早いスタイルの確立が求められる。昨季の天皇杯王者として臨んだゼロックス杯では、柏レイソルを相手に内容で互角に渡り合いながら、決定力を欠いて完成度と地力の差を見せつけられた。まだ調整段階とはいえ、接戦を勝ち点につなげる“チーム力”をいかに早く手に入れるかが、今季の大きな課題と言えるだろう。
「メッセージ性の強い補強」を断行したヴィッセル神戸。
また、鹿島アントラーズからFW田代有三とMF野沢拓也、ガンバ大阪からMF橋本英郎とDF高木和道、さらに日本代表DF伊野波雅彦を加え、大幅な戦力アップを遂げたヴィッセル神戸も躍進が期待されるクラブの一つだ。
Jリーグ史上最年少となる30歳のGM(統括本部長)として注目される高橋悠太統括本部長は、「本気で上を狙う、メッセージ性の強い補強をしなければならなかった」とコメント。まさにその意気込みが感じられる大型補強を結果に結び付けることができるか。ベテランが多い顔ぶれを見れば、この改革の勝負どころが1年目にあることは間違いない。
ピンポイント補強で弱点を補った柏レイソルに死角なし。
大幅な改革による強化を選択したクラブがある一方で、昨季のJリーグ王者である柏レイソル、そして一昨季の王者である名古屋グランパスは“継続”を選択した。
今オフの柏レイソルは主力選手の放出を回避し、各ポジションにピンポイント補強を実現。J2で結果を残し続けてきたFWリカルド・ロボ、DFもMFもこなす那須大亮を筆頭に、各ポジションにチーム内競争力を高めるための即戦力を加えた。現時点では、絶対的な司令塔であるレアンドロ・ドミンゲスに不測のアクシデントでも起こらない限り、このチームに死角は見当たらない。万全とは言えないコンディションでゼロックス杯を獲るあたり、昨季手にした一体感と勝者のメンタリティーもすっかり定着した印象さえ受ける。