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香川離脱に見るドルトムントの深謀。
代表招集を巡る日独の温度差とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2012/02/22 10:31
後半戦に入り、公式戦5試合で4ゴールと絶好調だった香川。1日も早い復帰はファンもクラブも望むところだ
医師の判断よりも早く復帰したS・ベンダーの例もある。
そして、香川には若さゆえの回復力がある。
焦って復帰することは禁物だが、香川が2月26日のハノーファー戦で復帰する可能性も決して低くはないのだ。
思い出されるのは、2月3日のニュルンベルク戦でS・ベンダーが左足首を痛めたときのことだ。この試合の前半22分に、S・ベンダーは相手のタックルを受けた直後に負傷退場を余儀なくされた。ここが今回の香川の負傷との違いでもある。
この試合の後、ドルトムントは、マルク・ブラウン医師の診察を根拠に、ベンダーの2週間以上の離脱を発表している。そのため、彼の復帰は2月26日のハノーファー戦まで待たないといけないと見られていた。
ところが、S・ベンダーは負傷してから8日後、2月11日のレバークーゼン戦でスタメンに復帰しているのだ。
これは、ブラウン医師の資質に問題があるということを示すのではない。むしろ、患者の怪我の再発を防ぎたいと願う医師のプロ意識すら感じられる。
注目すべきは、クラブ側がそれを承知で発表しているということ。ドルトムントはドイツで最も非公開練習の多いクラブでもある。件の会見の次の日には非公開練習がひかえており、わざわざ香川の負傷を注目を集める形で公にする必要はあったのだろうか。そして、懇切丁寧にメディアを前にして香川負傷のニュースを発信したのは何故だったのだろうか。
負傷を発表したクラブ側の意図は代表参加の足止め!?
その謎を解くカギは、2月29日に豊田スタジアムで開催される2014年W杯3次予選のウズベキスタン戦と、その前の25日に行なわれる予定の日本代表のメンバー発表にある。
つまり、現時点でドルトムントは、次の日本代表戦のために香川には帰国して欲しくないと考えているのではないだろうか。
ヨーロッパのシーズン中に各国の代表戦が行なわれる国際Aマッチデーは、大まかに分けて2つのタイプがある。
1つ目が、各国のリーグ戦を1週間中断して、中断前のリーグ戦翌週の金曜日と、再開する週の火曜日に行なうパターン。
2つ目が、リーグ戦を中断せずに、リーグ戦の合間の水曜日に1試合を行なうパターンだ。
2月29日のウズベキスタン戦は2つ目にあたる。このパターンの代表戦が組まれるのは、ヨーロッパの2011-2012シーズンで2回目。