自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
ニッポンの自転車通勤に新提案!
「自転車ツーキニスト号」が遂に完成。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/01/21 08:00
これが夢の通勤スペシャル号だ! ちなみに一緒に写っているのは、この自転車よりももうちょっと前に作った子供です! お父さんの自転車を細かくチェック中なのです
ロードレースではなく、かといって、ママチャリユースでもなく、「自転車通勤」に最適な自転車とはどのような自転車だろうか。
と、まあ、これは自転車ツーキニスト歴14年の私ヒキタにとって、長年の課題であり、夢ですらあった。
通勤先は大抵の場合、市街地であろうから、シティユースの自転車である。一日の移動距離は10kmから40kmというところだろうか。「究極の! 最高スピード」を求めるわけじゃないけれど、速いにこしたことはない。乗っていて楽ちんなことも重要だ……。
と、じつは21世紀に入った頃から各社各人のご協力を戴きつつ「通勤スペシャル号」、私なりに色々と試行錯誤を重ねてきてはいたのだ。
ところが、今回そこに新たに考えなくてはならないファクターが出てきた。
もちろん東日本大震災である。
ここ4、5年程度、たしかに自転車はブームだった。そこに大震災以降「帰宅難民のリスク」というファクターがものすごいインパクトとともに加わった。都心の自転車通勤ユースが急増し、自転車は“初心者”ツーキニストに対応する必要が出てきたということだ。
となると、それはイコール「究極の街乗り自転車」というところにも結びつくわけで、去年一年間、それはどういう自転車であるべきか、私はことあるごとに考え続けてきた。
あの世界一の自転車関連企業「シマノ」が全面バックアップ。
で、そこにチャンスが舞い降りてくる。
毎年年末に東京湾岸の大展示場・東京ビッグサイトで開かれる「日経エコプロダクツ展」というのがあるんだけど、ここに自転車通勤に特化した自転車を作ってみないか、というオファーがあったのだ。
自転車通勤というものが直接エコに結びつく、というのももちろんだが、やはり主催者の念頭にも、大震災以降の「帰宅難民」というものがあったのは間違いない。
都心の帰宅難民ぶりは、この連載でも、当時、レポートした通りだ。
で、この自転車通勤というものが、あれよあれよとエコプロ展のテーマの1つとなっていった。
このプロジェクトを全面的にバックアップしたのが、世界一の自転車関連企業、あのシマノだ。自転車人としては、こんなに心強い味方もないわけで、かくして、何だかんだで通勤スペシャル1号機は、無事完成し、エコプロ展にも展示され、大きな反響を得た。
で、すべてを終え、その自転車が今、私の家にやってきた。これからはこれに毎日乗り、色々いじり、シマノのバックアップを得つつ、もっと快適に、もっと通勤スペシャルに、育てていこうというもくろみなのだ。
というわけで、日常の通勤ユースである。私ヒキタの日々の通勤は、往復10kmとちょっと短いんだが、これに加えて、通常の買い物、ご近所ユースなどにも使ってみる。
2、3日過ぎた。いいぞ。この寒い日々にもかかわらず、もっともっと自転車に乗りたくなる。
1週間が過ぎた、ものすごくいい。
街乗り完全特化、で、GO&STOPが機敏。ガチガチの革サドル(後述)にもかかわらず、ケツが痛くならない。夜も楽。雨も楽。坂も楽。取り回しはイージーでありながら、その実、成り立ちがものすごく本格派。
その他いろいろな美点があるんだが、それもそのはず、この自転車には「そういう自転車であるために」作られた10の特徴があるからだ。