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イブラのバルサ批判が激辛過ぎる!!
好調ミランを支える“バッドボーイズ”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2011/11/18 10:30
11月23日、グループH首位のバルサを2位ミランがホームで迎え撃つCLの大一番。イブラヒモビッチの言動にも注目が集まる
ミランのアッレグリ監督は“反バルサ”を公言する。
ピッチの内外で“清く、正しく、美しく”あろうとするバルサの選手たちは、異分子イブラにしてみれば純粋培養されたエリート集団のようなものだった。居心地が良かったはずもない。
その成功と名声をもって、現在のサッカー界にはバルセロナを神聖視する風潮が少なからずある。いわば「バルサ流=良識派、善玉」説といったものだ。イタリア国内ですら彼らのプレースタイルやクラブ運営方法を模倣・追従しようとする動きは顕著であり、ルイス・エンリケを招聘したローマなどはその典型だ。ただし、アッレグリはバルサ流を妄信しない。
「イブラにメッシのプレーはできないが、逆もまた然り。バルセロナやレアルをコピーするのは不可能だし、二番煎じにも意味がない。大事なのはミラン流でいくことだ」
逆境を乗り越えた「似たもの同士」の連帯感と結束力。
唯我独尊のイブラを筆頭とするミランFW陣の顔ぶれは他の強豪と一線を画すものだ。決して裕福とは言えない環境から這い上がったイブラだが、今季アシストを量産していたカッサーノもまた生まれ育ちから順風満帆とは言い難い人生を送ってきた。故障明けながらキレあるプレーを見せるロビーニョも、サッカー人生において周囲から理解されることなくチームを転々とした。
「俺たちはそれぞれのスラム街(=逆境)をくぐりぬけてきた」と語るイブラが、彼らを仲間と認めたのも無理からぬことだ。特にローマやレアルで多くの挫折を重ねてきたカッサーノに対しては「自分自身を見ているようだ。俺たちは似たもの同士で、互いがよくわかる」と意気投合した。
ベテランと新参、生え抜きと外様を分け隔てないアッレグリ采配の下、ミランはすでに2つのタイトルを勝ちとった。選手たちはそれぞれが己の実力だけでのし上がってきた猛者同士だからこそ、勝利という結果によって連帯感はより強まっていく。
それだけに10月末のローマ戦後、突如、脳虚血症に襲われたカッサーノの長期離脱はチーム内外に大きなショックを与えた。病因である心臓疾患の手術は無事成功し、イブラが音頭をとりつつ動揺を乗り越えたチームには、一段と強固な結束が生まれつつある。