オフサイド・トリップBACK NUMBER
テベスの次は誰か? マンUとマンCを
完成させる「最後の更迭人事」。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byGetty Images
posted2011/11/20 08:02
「私の指揮下ではテベスは決してプレーしないだろう」と語ったマンチーニ監督。テベスの方は、マンチーニとチームの扱いに対して名誉棄損や契約義務違反で訴える準備があると言われている
「ベッカム、C・ロナウド、次は?」
オールド・トラッフォードの目と鼻の先で、20年以上も土産物店をやっているオヤジが突然クイズを出してきた。
「7番つながりでいうと……オーウェン?」
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待ってましたと言わんばかり。得意顔で、すぐにダメ出しが返ってくる。
「ブー! 答えはルーニー。マンUの主力組で、多分、次にチームを出ていくのは彼になるはずさ。まあ見てなよ。俺の予言は早けりゃ来年、遅くとも2、3年のうちには当たるだろうから」
ファーガソンの大胆な人事でスター選手達は次々と放出されていった。
彼の「予言」には妙な説得力がある。ファーガソン監督は、過去、何度となく大胆な人事を敢行してきたからだ。絶大な人気を誇っていたベッカムの放出しかり、1シーズン42点をたたき出したこともあるC・ロナウドの売却しかり。馬車馬のような勢いでゴールを量産した、ファンニステルローイのケースも同じだった。
むろん常識的に考えれば、現時点でルーニーを斬るのは自殺行為に等しい。今季のマンUは故障者が多いため、ファーガソンは彼を中盤で起用することさえある。ルーニーがいかに「欠かせぬピース」になっているかは、CLのオテルル・ガラチ戦(11月2日)における、ファーガソンのコメントからも明らかだ。
「中盤の中央におけるプレーはすばらしかった。周囲の選手もよく見えているし、時折見せるパスの選択もとてもよかった。彼はチームのベストプレイヤーだった。今晩は彼のプレーを起点に、本当にいいパフォーマンスができたと思う」
しかし、このような蜜月関係が永遠に続く保証はない。その理由の一つは、ルーニーに起きている微妙な変化である。
「欠かせぬピース」のルーニーから「熱」が消えた!?
もともとルーニーという選手は、闘志をむき出しにして、ひたすらチームのために尽くすタイプという印象が強い。その姿勢は上位陣との対決はおろか、下位チームが相手でも変わらなかった。
ところが最近のルーニーからは、なぜか以前ほど「熱」を感じられなくなってきている。マンCに6-1で大敗した例のダービーマッチでも、象徴的な場面が見られた。