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甲子園のスターがアジアAAAを制覇。
気になるドラフト候補を徹底分析!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/09/08 10:30
今大会通算20打数10安打13打点の成績で最優秀選手(MVP)となり、優勝に貢献した高橋周平(東海大甲府)。甲子園は未出場ながらも、強烈な印象を残して高校での野球を締めくくった
選手権(夏の甲子園大会)出場メンバーを中心に構成された全日本高校選抜チームが、第9回アジアAAA野球選手権(以下、アジアAAA)で3大会ぶりに優勝した。その顔ぶれ(全員3年生)は以下の通りだ。
<投手>
吉永健太朗 (日大三・右右・182/80)
原樹理 (東洋大姫路・右右・178/68)
釜田佳直 (金沢・右両・178/77)
歳内宏明 (聖光学院・右右・182/82)
松本竜也 (英明・左左・193/78)
北方悠誠 (唐津商・右右・180/80)
野田昇吾 (鹿児島実・左左・167/64)
<捕手>
道端俊輔 (智弁和歌山・右右・175/76)
近藤健介 (横浜・右左・172/83)
佐藤大貢 (東海大相模・右右・182/83)
<内野手>
板崎直人 (作新学院・右右・165/66)
横尾俊建 (日大三・右右・176/86)
宮内和也 (習志野・右右・171/68)
高橋周平 (東海大甲府・右左・185/83)
谷田成吾 (慶応・右左・183/85)
<外野手>
畔上翔 (日大三・左左・178/82)
北川倫太郎 (明徳義塾・右左・187/85)
臼田哲也 (東海大相模・右右・180/70)
今夏、選手権に出場できず、春の選抜大会だけ出場しているのが野田、佐藤、臼田。春・夏とも甲子園大会に出場したことがないのが高橋と谷田で、あとの13人はすべて今夏、甲子園の土を踏んでいる。その選手権組から話をすると、印象が変わったのが釜田、原の2人だ。
澤村を彷彿させるフォームで制球を重視した釜田の変貌。
釜田はパキスタン戦に先発して、2回を1安打、6三振で完全に封じ込めている。パキスタンは私が知る限り最も弱いチームだったので、数字の話をしても意味がない。どういう投球フォームで、どういう球を投げて抑えたのか、そこに注目したい。
選手権の釜田は必ずしもいいフォームではなかった。バックスイングに向いながら上体がガクン、ガクンとギアが入ったようにのけ反り、明らかに反動を使おうとしていた。ところが、アジアAAAのパキスタン戦では悪癖が収まり、現在の澤村拓一(巨人)のような軽い“反り”になっていた。
非力な相手にはスピードよりコントロール重視が鉄則。パキスタンだからスピードの欲求を抑え、反動を抑え込むことができたわけだが、この変貌をひと夏の出来事にするか、将来に続くものにするかは釜田次第。